一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

876  老師にも好き嫌いあり斑雪  多可

2013年03月13日 | 

(ろうしにも すききらいあり はだれゆき)

老師とは、単に「年をとった師匠」でもあるが、禅宗の一つ臨済宗では師家とも言い、高い境涯を持った高僧をいう。修行道場を主宰し、修行僧に公案を与え、その境涯を計り、印可を与える。

 一般人である作者は、「立派な高僧でも好き嫌いがあるのか」という驚きとともに、親近感とおかしみを抱いたのではないだろうか。

 斑雪は、春になって雪解けが進み、まだらに積もり残っている雪のこと。

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875  詰襟の十五のきみにサクラサク  さくら

2013年03月12日 | 

  「サクラサク」は、大学入試の合格発表の「合格」を知らせる、電報の文。落ちると「サクラチル」今では、携帯電話があるから、電報はたぶん過去の遺物になっているだろう。この句の場合は、「十五のきみ」とあるから、高校入試であろう。

ところで、この句の 「サクラサク」を、東日本大震災復興支援の歌「花は咲く」にしたい、がどうであろうか。

詰襟の十五のきみに「花は咲く」←クリックすると聞くことができます。

 

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874  春泥の靴の気になる陶器店    初江

2013年03月11日 | 

1 春泥の靴を気にして陶器店

お店に申し訳ないと思いつつ、春泥の靴は気になるが、店に入った、確信犯。

 

 2 春泥の靴づかづかと陶器店

 お店に全く気使いをせず、汚そうが平気で傍若無人に店に入った、暴走族。

 

3 春泥の靴を叩いて陶器店

 春泥の靴だったので、入る前に泥を落として店に入った。

 

4 春泥の靴が気になる陶器店

 陶器店に入ってから、靴の汚れが気になり始めた。悪意がなく善良ではあるが、間が抜けている。

 

つまり、俳句の善し悪しは、その人の人間性と深く関係していることがある。

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873  骨壷や墓無き夢を春の海

2013年03月10日 | 

 ようやく、春めいてお彼岸も間近ですが、下記の通り、「終の棲家、骨壷を作る会」を開催しますので、お知らせいたします。

 「えーっ、骨壷を」と驚かれるかもしれませんが、

 生前に「自分の骨壷」を作っておくことは、お墓を作っておくのと同じで、不謹慎どころか、明治以前では各地でみられ、縁起が良いとされていたそうです。 

 第三の人生で、初めて入る自分の部屋が、葬儀屋の用意する、大量生産の白い磁器の安物の骨壷では、悲しいですよね。そこで、自分でデザインし、自分で作った骨壷を用意しておきましょう。元気な時は、梅干しや飴、お菓子などを入れておき、毎日眺めると長生きできるそうです。

 形は、筒型、丸型などどんな形でも構いません。蓋が必要です。

自分の好きな花などを掘ったり、絵に描くこともできます。

制作には、最低2日必要です。 

日、3月16日(土)~29日(金)(この間無休)

時 AM10時~PM5時 

都合のよい日にちと時間をお選びの上、お知らせ下さい。

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872  土讃線春泥の靴なだれ込む    かよ子

2013年03月09日 | 

 土讃線は、香川県多度津町多度津駅から愛媛県を通り、高知県四万十町窪川駅まで、四国を横断する、およそ200キロメートルのJR四国の運営する鉄道路線。土佐と讃岐を結ぶので土讃線と呼ばれる。土讃線には、吉野川上流の渓谷、大歩危小歩危(おおぼけこぼけ)などの景勝地も多い。

 さて今時、春泥の靴がなだれ込むような駅があるとは、考えにくい。何故なら日本全国、どんな田舎の道路でも舗装されているからだ。

 この句は、土讃線の「土讃」の別の意味「土を讃える」を使いたくて作ったのではないかと思う。

ジンチョウゲ(沈丁花) ジンチョウゲジンチョウゲ属の常緑低木

チンチョウゲとも言う

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871 梅見酒良く喋るからきっと不倫  悟朗

2013年03月08日 | 

  隣の梅見の席の見知らぬ二人、男が60代、女が40代くらいだろうか。人目も憚らず良く喋り、よく笑っている。二人とも実に楽しそうである。

 そう言えば、旅館の女将が言っていた。夕食のテーブルに向かい合った男女。黙々と食べていたら本当の夫婦。楽しそうに良く喋っていたら不倫だとか。本当かどうか分からないが、ありそうな話ではある。

キブシ(木五倍子)キブシ科キブシ属、雌雄異株の落葉低木

 

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870  小節効く今日の鶯鐘乱打   光代

2013年03月07日 | 

 去年の我が家の初音(鶯の初鳴き)は、2月21日だったから、今年は大分遅れている。初音がないと、春になった気分がしない。

 さてこの句、鶯が小節を効かせて囀っているという。たぶん、今年初めて上手に囀ったのであろう。そして作者は、のど自慢大会の審査員になった気分で、カンカンカンカンカンと合格させたようです。

 余談ですが、昔からNHKの「のど自慢大会」の審査員の審査はおかしいので有名だそうです。審査員の顔を見せない。合否のラインが曖昧など、不正があるのでは・・・などと噂されているそうです。

 私は、この2,30年「のど自慢大会」は見たことがありません。紅白歌合戦だって見ないんですから当然です。

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869  啓蟄さん少し掘ったらマグマだよ   蓮

2013年03月06日 | 

 私たちは、マグマのことなどほとんど忘れて生活している。しかし、3.11も間もなくだし、地球のことを少しだけ思い起こしてみよう。

  地球の内部は、確かに真っ赤なマグマのようである。地表に噴出したマグマは、800から1200度、だから中心部は数千度あるかもしれない。

  地球は、核、マントル、地殻などに分けられているが、10数枚の地殻(プレート)の厚さは、10~30㎞で、プレートの移動によって地震や噴火が起きるのだ。それは、北極の浮遊する氷の上の生活とよく似ている。固い大地などではなく、不安定極まりないのだ。

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868  ゴスペルを聴く亡き妻と春の闇   輝

2013年03月05日 | 

①   ゴスペルを聴く/亡き妻と春の闇

私は一人ゴスペルを聞いている。そこには、亡き妻がいて春の闇があった。

②   ゴスペルを亡き妻と聴く/春の闇

私は亡き妻と一緒にゴスペルを聞いている。そんな時があった、そこは春の闇であった。

③   ゴスペルを聴く亡き妻や/春の闇

亡き妻はゴスペルを聞いている、それは春の闇であった。遠くから、私はそれを見ている。

  ゴスペルという神の領域に近い音楽。それを聞いているのは、私なのか、妻なのか、二人でなのか、この句は、そこが曖昧である。しかし、曖昧だから駄目とは言えない。曖昧にしておいた方が、良い場合だってある。いづれにしても、夢の世界のようである。

    ゴスペルや亡き妻といる春の闇

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867  暮れなずむ日金の山に鳥帰る    遊石

2013年03月04日 | 

 「鳥帰る」とは、秋に渡って来て、冬を日本で過ごした鳥が、春になって大陸へ帰ることを言う。ツグミ、ジョウビタキ、ユリカモメ、マガモ、オオハクチョウ、マナヅル、オオワシなどのことで、冬鳥ともいう。

  さて、三島や函南の北西に、日金山が見える。実際鳥たちは、遠い大陸の北国へ帰って行くのだが、「北に」「大陸に」などと言わずに、敢えて目の前にある「日金の山に」と言っている。日金山は、死者の霊が集まる山と言われているし、実際その先どこへ行くのか、それは雲の彼方のことで見えないし分からない。

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866  2013年2月  岩戸句会

2013年03月03日 | 

五ミリほど蓬の芽にも葉の形    豊春

ランドセル売場賑い春来る 

 

病床に福よぶ豆を置いてくる    正太

冬の鳩防災空地に集いけり

 

春めくやするりと入る雨戸かな   洋子

髪切りて春一番に吹かれおり

 

淡雪や大型ダンプの古タイヤ    炎火

節分や酒屋の棚の鬼ころし

 

暮れなずむ日金の山に鳥帰る    遊石

沈丁の揺れやまずして雨となる

 

春潮や粗朶運び来る波頭        鼓夢

紅梅や世を憚らぬ媼声

 

春めくや財布の小銭ざわめけり    章子

梅の寺雲水ひとり庭を掃く

 

一服のもらい煙草や春の月       薪

囀りに片耳あずけ尾根越える

 

春の霧街灯まるく包み込み       歩智

えッこんな時間ですかと日脚伸ぶ

 

ここだけの話すぐ漏れ風は春      稱子

行く道はまた戻る道梅香る

 

春ちかい二月二十二日母しのぶ   空白

卒塔婆の打ち合う音も春めいて

 

割られたる楠芬々と春めける      雲水

雪催ひねもす降らず暮れてゆく

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865  餌台に小鳥増やして二月尽

2013年03月02日 | 

 昨年は、餌台に来る小鳥が少なくて心配したが、今年は平年並みに回復。しかし、減った理由も増えた理由も、さっぱり分らない。20羽ほどの小鳥たちで、10㎏のヒマワリの種を1か月で食べてしまう。そんな2月も終わり、1年の6分の1が終わった。

 鶯の囀りはまだ笹鳴きであるが、春一番も吹いたようだし、春はもうそこまで来ている。

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864  朧月時代遅れにぁなれないよ

2013年03月01日 | 

妻には涙を見せないで、子供に愚痴を聞かせずに、目立たぬように、はしゃがぬように
似合わぬことは無理をせず、人の心を見つめ続ける、不器用だけれど白けずに
純粋だけど野暮じゃなく、昔の友には優しくて、変わらぬ友と信じ込み
あれこれ仕事もあるくせに、自分のことは後にする、妬まぬように、焦らぬように                  飾った世界に流されず、好きな誰かを思い続ける、時代遅れの男になりたい(河島英伍)

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