今回はベテランの男性歌手、前川清さんの11月6日発売の新曲『風潮』を取り上げることにします。
前川さんは内山田洋とクールファイブのリードボーカルとして、長きにわたり数多くのヒット曲を歌った後もソロ歌手として、その個性的な歌い方で存在感を示してきました。
昨年12月に出た『あなただけ(リアレンジバージョン)』はなかなかいい味わいで、私もカラオケで練習していました。
さて、今度の『風潮』ですが、内容的にはかなり異質な歌謡曲と言えるでしょう。
作詞作曲はシンガーソングライターとして名高い永井龍雲氏で、前川さんのために書き下ろし、キャッチコピーによると「なにかと生きづらい世の中で自身の生きてきた証を模索しようとする中高年の思いにマッチする佳曲」とあります。
曲調はクールファイブ時代のようなムード歌謡風ですが歌詞が独特で、恋愛ソングではないし、人生応援歌とも一味違う、タイトルどおり現代の風潮に鋭く切り込み、あるべき生き方を問いかけるような内容です。
1番の歌詞では言葉が他人を傷つける風潮が歌われます。これはSNSなどで他人を誹謗中傷することが代表的で、「言わなくて済むことならばあえて口を挟むなよ」とあります。
「大人も子供も無責任」では、子供にまでSNSの悪口がはびこり、自殺の原因にもなっている現状を嘆いているようです。
2番になると「水清ければ魚棲まず」と諺から始まり、他人の欠点をあげつらう風潮が批判されます。これはいわゆるカスハラなど、ちょっとしたことで居丈高になる傾向も含むように思われます。
ハーフの3番では「すかした物言いでわけ知り顔に人の本気を嘲笑う」と、何でも茶化して馬鹿にして面白がる風潮を批判しているようです。
そして結論は「同じ時代を生きるなら いたわり合って生きようよ」です。
今の時代にこういった歌謡曲が出ることは大きな意義があると思います。
カラオケでも意表をついてこういう曲を歌ってみるのも面白いのではないでしょうか。