今年の2月に発売なのでもう10ヶ月前になりますが、大江裕さんのデビュー曲「のろま大将」をここで取り上げておきます。彼にはできれば紅白、せめてレコ大に出場して、話題に乏しかった今年の演歌界に一花咲かせてほしかったところです。ヒット曲もないのに過去の遺産だけで食いつないでいるようなベテラン歌手を出すよりずっと価値があると思うのですが…
大江さんは平成元年生まれで二十歳になったばかり。そのユニークなキャラクターが売り物です。衣装は派手なチェックのスーツ、メタボ気味の体型、若者文化には疎く、しぐさはオカマチック。言うなれば「キモい」わけですが、どうも天然系のようで、彼としては自然にふるまっているようです。ところが歌唱のほうはなかなかしっかりしていて本格的で、そのアンバランスさも面白い。
彼は尊敬する北島三郎氏に弟子入りし、この「のろま大将」も師匠が原譲二のペンネームで作曲しています。内容は彼にぴったりの謙虚なもので、不器用でへまばかりやっている者にとっては元気を与えてくれる曲だと思います。カラオケで面白おかしく歌うのには向いているでしょう。
紅白、レコ大は残念だったけれど、彼には未来があり、夢があります。まっすぐ伸びていってもらいたい逸材です。