今回は、まつざき幸介さんの新曲を取り上げます。彼は小田純平氏のお弟子さんということで、私は新曲が出るたびに注目している歌手の一人です。
彼の曲は本当にいいものが多く、小田氏が彼のことを気に入って、力を入れて作曲していることがうかがわれます。
ここ数年の彼の曲は、ゆったりしたバラード調が多く、『涙のピリオド』『哀しみのアドレス』のような失恋の悲しみを歌った女歌、また『雨音』『おもいで通り雨』のようなしみじみと人生を振り返る男歌などが思い浮かびます。
2月7日に発売された新曲『月の秤(はかり)』は、そういったこれまでの彼の曲とは一味も二味も違った趣を感じます。まず一番特徴的なのは、ジャズ風のアレンジをしていることで、編曲は矢田部正氏です。
私は音楽のジャンルとしてのジャズはどうにもなじめなくて、正直なところあまり好きではありませんが、ジャズのテイストを利かせた歌謡曲は面白い試みだと思います。MVではジャズバンドの伴奏をバックに、まつざきさんが軽快に歌ってる様子が見られます。
第二の特徴としては、ユニークな歌詞があげられるでしょう。作詞は朝比奈京仔氏で、小田純平氏とのコンビで数多くのいい女歌を書いている方です。
『月の秤』というタイトルからして意味深で、内容的には相手の心変わりを嘆く心情を歌う女歌で、月の満ち欠けを心変わりの様子に例えているようです。
サビにには「ルナ リブラ」という言葉が出てきて、すごく印象的です。ルナは月、リブラは天秤座のことで、まあこれで月の秤を象徴しているようです。
1番、2番の冒頭の歌詞で「愛がやせていく」「愛を食べてゆく」と面白い表現もあって、大変工夫された歌詞だと感じます。
まつざきさんにとってはこれまでにない感じの曲で、歌手としての力量がますます増したように思います。
歌謡曲ファンにはおすすめの曲で、カラオケではちょっと難しいかもしれませんが、うまく歌えればすごく格好いいと思いますし、是非チャレンジしてほしいですね。