6時起床。筋肉痛で肩やら腕やらがカチカチである。いかにスイングに無駄な力が入っているかということだろう。午前中は、来会対応やら事務処理やらであっという間に過ぎていく。
12時前にオフィスを出て、さいたま新都心へ。昼食は、移動中に崎陽軒の「炒飯弁当」を食べる。崎陽軒といえばシューマイのイメージが強いし、実際シューマイが一番おいしいのだが、炒飯もなかなか捨てたものではない。お弁当でこれだけおいしいのだから、出来立ては相当なものだろう。その後、そのまま寝てしまい、赤羽で下りるはずが大宮まで寝過ごしてしまう。まあいい、さいたま新都心は大宮から1駅引き返せばいいだけだ。
今日ここへ来たのは、国の合同庁舎で行われる次年度の各種政策に関する説明会に出席するためである。しかし、先輩との待ち合わせまで少し時間があったので、まずは駅周辺を少し散策する。さいたま新都心駅は、私の出身高校の最寄り駅である。今でもここに来ると、当時のことを思い出す。私にとって、高校生活はそれほど楽しいものではなかった。友人には比較的恵まれていたと思うが、受験第一主義的な雰囲気が嫌で、頻繁に授業をサボって遊んでいたし、先生と大喧嘩したこともあった。今から考えると、最もつまらない時期だったが、最も子どもらしい反抗期を過ごした時期だったのかもしれない。今は駅前の開発も進み(卒業直後に大型ショッピングモールがオープンした)、道を歩いている人の数も増えた。その中には、懐かしい制服の姿もちらほら見える。もし今からもう一度高校生活をやり直せるとしたら、何をどう変えるだろうか。いや、そもそもこの高校には入らないかもしれない。
この景色を見ると、高校時代を思い出す。
昔はこんなお洒落な空間はなかった。
最後はカフェで少し休憩。
先輩と合流し、説明会の会場へ。会場では、他の支援機関の方やコンサルタントさんもいらっしゃった。私たちが最も聞かなければならないのは経済産業省の話で、それもそれなりに面白かったのだが、最も印象的だったのはNEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の話である。この組織では、先進的かつ実用的な産業技術の開発に補助金を出して支援を行うのだが、それによって開発されたものがとても魅力的なのだ。一例を挙げよう。
(1)東京女子医大の医師が助成を受けて実施した開発に、「脳腫瘍完全摘出システム」というものがある。これまで、脳腫瘍の摘出手術は手術前のMRI画像を見ながら腫瘍の位置を特定し、摘出していた。そのため、最低限の切除で腫瘍を完全に取り除くということは難しく、腫瘍の一部を残してしまったり、切除部分が必要以上に大きくて患者に後遺症が残るということが多かった。しかし、このシステムを使うと、MRI画像をリアルタイムに確認しつつ手術を行うことが出来る。それにより、腫瘍と正常部分の区別がはっきりし、「最大限の摘出」と「最小限の合併症」の両立が可能となった。現在、このシステムを活用した手術は568件行われており、その腫瘍の摘出率は93%となっている。それまでの全国統計の摘出率が50~75%だったそうなので、これは大きな技術革新である。
(2)北海道大学発のバイオベンチャー企業である株式会社イーベックが助成を受けて実施した「任意の標的分子に対する完全ヒト抗体作製システムの開発」では、「完全ヒト抗体」なるものが開発された。抗体医薬は、病気の原因となる特定の標的のみを攻撃するもので、従来の医薬品に比べて効果が高く、副作用は少ない。今回開発された「完全ヒト抗体」では、人間の体内から採取したリンパ球を用いるため、副作用がほとんどなく、ガンや感染症などに効果的な新薬の開発に役立つといわれている。この開発により、その企業はドイツの大手製薬会社とのライセンス契約を締結。その金額は80億円とも言われている。医学的にも、経済的にも、夢のある話だ。
こういう話は聞いていて飽きないし、「こういう使い方をするなら税金も気持ちよく払えるわなー」と思える。そして、いきなりこんな規模の大きなことは難しいにしても、私もこういう事業の支援が出来たら嬉しい。
説明会終了後、先輩と喫茶店に寄ってから、17時半過ぎに地元へ戻る。神奈川在住の先輩方からすると埼玉出張は大きな負担だが、私にとってはありがたい(但し、直行もしくは直帰の場合に限る)。せっかくなので、美容室で髪を切ってから帰宅。それでも、18時半過ぎには家に着いた。普段なら、どんなに早くオフィスを出ても、せいぜい東京駅ぐらいにいる時間である。
帰宅後すぐに入浴したのだが、あまりの寒さに就寝前にもう1度お風呂に浸かる。今年の冬は、例年より寒いような気がする。しかし、ニュースなどでも、今年は特に気温が低いなどという話は耳にしない。もしかしたら、私が段々と年を重ねて、もはや「風の子」ではなくなっただけなのだろうか。