社会を見て、聞いて、感じる。

人生そのものがフィールドワーク。

7月8日(日)

2012年07月08日 23時26分34秒 | 2012年

  6時半起床。今日は、完全に自由行動である。身支度を整え、すぐにホテルをチェックアウト。

  上諏訪駅07:53発の普通列車に乗り、甲府へ移動する。所要時間は1時間強だが、車内は不安になるほどガラガラだし、車窓からはのぞかな景色がどんどん飛び込んできて、全く退屈させられなかった。

  駅前からバスに乗り、昇仙峡へ。予定では、昇仙峡口で降りて終点の昇仙峡滝上まで約5キロのハイキングコースを歩く予定だったのだが、天候に少し不安があったのと、靴が革靴だったので、終点よりひとつ手前のグリーンライン昇仙峡で降り、1キロほどを歩くことにした。

  昇仙峡は、予想以上に素晴らしい場所だった。空高くそびえ立つ覚円峰やインパクト抜群の石門、豪快な仙娥滝といったそれぞれの見どころはもちろん素晴らしいし、渓谷全体がマイナスイオンで包まれていて、その場にいるだけで心が洗われる。途中で少し雨に降られたりもしたが、この場所ではそんな雨すらも風情があるように感じられて、気持ち良かった。

覚円峰


石門。岩が重なり合っているように見えるが、実は左の岩と上の岩は…。


くっついていない。


仙娥滝。写真だとわかりづらいが、水の勢いが凄まじい。

  滝の上まで登ったところの売店で、ぶどうのソフトクリームを食べる。山梨といえば、ぶどうだ。出てきたソフトクリームは、どちらかというとジェラート寄りで、本当にぶどうの粒が入っていたりと、本場だけあってかなりおいしかった。また、お店の看板に「世界で2番目においしいソフトクリーム」と書いてあったので、店のおばさんに「なんで2番目なんですか?」と聞いてみたところ、「それは謙虚さよ」と言われた。確かに、安易に世界一と謳うよりは謙虚だが…。

  5キロのハイキングを短縮したため時間に余裕があったので、「昇仙峡ほうとう会館」に立ち寄り、山梨名物のほうとうを食べる。今回は、一番の定番だという「かぼちゃほうとう」を注文した。ほうとう会館という名前だから相当本格的なものが出てくるのかと思いきや、どちらかというと団体さんの食事処といった雰囲気で、ほうとうもおそらく予め準備されていたものだったように思う。そのため、私の苦手な椎茸の匂いが鍋全体に移ってしまっていた。しかも、味そのものは確かにそれなりに美味しいが、結局は味噌煮込みうどんである。茹でてから汁に入れるのと、乾麺の状態から味噌で煮るといった違いがあるそうだが、それがどう味に違いを出すのかもよくわからない。と、文句ばかりになったが、別に味は美味しいんですよ。


セットで「ほうとう饅頭」が付いてきた。中身はおそらく野沢菜などの野菜。

  昇仙峡滝上からバスに乗り、山梨県立美術館へ。甲府駅で一旦乗り換えが必要だと思っていたのだが、たまたま美術館まで直通で行ってくれるバスだったので助かった。

  山梨県立美術館は、ミレーの作品を多く所蔵していることで有名である。と、いかにも知ったように書いているが、ミレーの絵を見るのはこれが初めて。しかも、普段は全く絵画や美術館とは縁のない私である。今から考えると、なぜ行こうと思ったのかよくわからない。しかし、ここは本当に行って正解だったし、行こうと思った自分を褒めてあげたい。ミレーをはじめとするバルビゾン派の絵が、本当に素晴らしいのだ。絵画にこれほどの吸い込まれるような迫力があり、まるで今にも絵から人や動物や風景が飛び出してくるんじゃないかと思ってしまうようなリアリティがあり、思わず顔を近づけて目を細めたくなるほどの細部へのこだわりがあり、書き手と被写体との間を行き交う想いがあるとは、全く気付かなかった。中でも特に印象に残ったのが、一番最初に展示されていた、ミレーが最初の奥さんを描いた作品「ポーリーヌ・V・オノの肖像」である。この絵の女性からは品位や優しさ、美しさが伝わってきて、ミレーが彼女に対して感じていたもの(それを愛情と呼ぶのだろうか)が本当にそのまま表現されているように感じられた。この絵だけは何度も戻ってきて見入ってしまい、結局ギフトショップでコピーも購入した。そして、これをきっかけに、今後はちょくちょく色々なところの美術館に足を運んでみようと思う。


「ポーリーヌ・V・オノの肖像」

  続いては、甲府駅でバスを乗り継いで、武田神社へ。「甲府といえば武田信玄」ということだが、実は美術と同様に日本史にも滅法疎い(つまりは教養がない)私は、彼がどれほどすごい人なのかよく知らない。せいぜい、「戦国武将の中でそこそこ有名なほうの人」ぐらいの認識である。しかし、寺社仏閣は好きだし、「武田信玄が使っていた井戸です」とか「当時お茶を点てる時に使っていた湧水です」などと言われると、やっぱり歴史を感じる。それと同時に、集まる観光客の多さを見て、「やっぱり武田信玄ってすごい人なんだね」という認識を深めた。そうかといって、詳しく調べるほどの気概はないのだが…。


実際に武田信玄が使っていた井戸。


当時、お茶を点てる時に使っていた湧水。延命長寿のご利益があるらしい。


なぜか境内を鶏が歩き回っている。しかも、鳴きながら。


今年初のトンボ。しかも、大好きなシオカラトンボだ。

  武田神社を出てすぐのところにあるお土産屋で、「信玄アイス」を食べる。ソフトクリームにきな粉と黒蜜を掛けたもので、信玄餅のソフトクリームバージョンであり、牛角アイスである。「信玄アイス」というといかにも歴史を感じさせられるが、きっと始めたのは牛角アイスのほうが先なんだろうな。まあ、美味しいからいんですが。

  甲府駅へ戻り、駅前のファンシー・ロード8番街を歩いて(1~7番街はどこにあるのだろう)甲府名物の「もつ煮」を食べられるお店を探し、大衆居酒屋「いらっしゃい」に入る。「鳥もつ煮」に加えて、「赤ワイン豚の串焼き」と「梅きゅうり」も注文。普通はこれにビールなのだろうが、私はコーラである。店員さんも、少し驚いた顔をしていた。甲府のもつ煮にはハツやレバー等に加えてきんかんが入るらしく、タレは甘辛い濃いめ。そのいずれもがうまくマッチしていて美味しいし、ご飯とよく合いそうだ。串焼きやきゅうりも美味しかったし、旅の最後に甲府の名物を体験することが出来て良かった。

  甲府駅16:42発の臨時特急はまかいじ号に乗り、横浜へ戻る。この「はまかいじ号」は、週末等の繁忙期にだけ運転される横浜発着の中央線特急で、車両は185系という古い型のものが使用されている。この車両と、中央線から八王子で分岐して横浜線に入ってそのまま横浜駅の京浜東北線ホームになだれ込むというファンキーな経路が相まって、鉄道オタクとしては一度乗ってみたかったのだ。甲府から横浜まではちょうど2時間で、前半は眠っていたが、横浜線に入ってからはずっと起きていた。普段は仕事で通る横浜線や京浜東北線のような通勤線路を、非日常的な特急車両で通る気持ち良さは、鉄道オタクでなくても少しは共感してもらえるのではないだろうか。

  19時半前に帰宅。ゆっくりと今週末の旅を振り返ろうと思いつつも、そろそろ夏休みの予定を考えなければならない時期に入ってきた。とりあえず、再来週は今週末の分の振替休日を使って20日から23日までを4連休にして、青森の友人のところへ行くことにした。行きの寝台特急の個室と帰りの飛行機のチケットは確保したし、向こうでは友人が車で案内してくれるので、私のほうではこれといって他に用意することはない。

  一方で、9月頭にはタイに行く予定になっているが、こちらは日程すら決まっていない。いや、それどころか、私はパスポートを探すところから始めなければならない。とりあえずこっちの部屋にはないので、おそらく実家のどこかにあるのだろう。確か、机の引き出しに入れていたと思う。次の週末に帰って、確認しないと。

  さて、明日は月曜日。今週末は仕事だったが、このように実際はほとんどプライベートな時間だったので、精神的にはむしろ普段の週末よりもリフレッシュ出来たし、明日と明後日はまた品川でITの研修なので、週の前半は現実逃避してのらりくらりと過ごすことが出来る。そして、今週が終われば3連休が、それが終われば4連休が待っている。そう考えたら、日曜日の夜にしてはどんどん気持ちが明るくなってきた。


7月7日(土)

2012年07月08日 21時48分53秒 | 2012年

  7時半起床。本来であれば週末の休みのはずだが、関東圏の若手経営者・後継者の会合のため、今日から1泊2日で長野県諏訪市へ出張である。しかし、1泊2日なのは1日目の終了後にもう帰る電車がないからであって、2日目は完全フリーであるため、半分はプライベートのようなものである。

  9時半過ぎに家を出て、京浜東北線と横浜線を乗り継いで八王子へ出る。八王子からは、11:30発の特急あずさ13号に乗り、上諏訪へ。所要時間は、約2時間。

  集合時間まで少し余裕があったので、駅の近くにある蕎麦屋「更科」で昼食。注文は、田舎そば、せいろそば、更科そば、季節のそば(オレンジだった)が少しずつ味わえる「四色そば」。いずれも細くてツルっとしているため、のどごしが非常に良い。しかも、お蕎麦そのものの味や香りが本当に良く、結局半分以上を汁につけずに食べてしまった。これは、今までに食べたお蕎麦の中でも群を抜いてる。いや、というよりも、これまで食べてきたお蕎麦とはそもそも少しジャンルが違うような気がする。

  その後、諏訪湖を少し散策。諏訪湖には、大学生の頃に語学の友人たちと旅行に来たことがある。当時はちょうど諏訪湖近くの温泉に泊まって、諏訪周辺や清里、松本などを回った。その時に、何と言っても印象に残っているのが、友人が蕎麦を食べてアレルギーを起こし、急いで病院へ運んだことである。元々軽めのアレルギーであることは自認していたので、周りの我々はやめておいたほうがいいと止めたのだが、「せっかく来たんだからちょっとだけ」と手を出して、案の定苦しむことになったのである。数時間点滴を打つことになり、本人は相当苦しかっただろうが、それも今となっては良い思い出である。諏訪湖に来ると、そんなことを思い出す。

  散策を終え、ようやくお仕事開始。総会、討論会、講演会に、入浴休憩を挟んで懇親会と、21時まで掛かったが、思っていたよりも時間の流れが早く感じられた。講演会では予想外に(と言っては失礼だが)良い話が聞けたし、お風呂は気持ち良かったし、懇親会では普段なかなかゆっくりと話をする機会のない方々とも話をすることが出来た。ただ、そうは言ってもやはり相当気を遣うので、心身共にヘトヘトである。

懇親会終了後、夜の諏訪湖に足が向く。