夏休みに入ってから
仕事のない日はイリノイの家に帰るので
けいちゃんたちと過ごす時間が少なくなった。
火曜日の夕方、二人揃ってスポーツの練習がなかったので
ダムの近くにある公園までドライブする事にした。
81年から95年までこの近所に住んでいたので
ここは何度も訪れた思い出の場所だ。
その頃に比べ 手がかけられた公園は
随分綺麗にはなっているけれど
目の前を流れる川は同じ
昔と変わらない物が一つでもあると
それで充分
すぐにその日に帰る事も出来る。
景色を見る為に出来た展望所?に置かれた石の腰掛は
写真やビデオを撮るのにいい場所だ と思い
二人にお願いして
背を向け合い一斉にジャンプしてもらった。
スローモーションで撮ったそのビデオを観ては皆で大笑い。
”もっとうまくジャンプできるぞ!” と
挑戦心の強いカメ君はそのあと
一人で何度もジャンプをし始める。
すると雲行きが怪しくなり
みるみるうちに空は雨雲で覆われはじめ
稲妻までが姿をだす。
日曜日、嵐に襲われたこの町は
時速120キロの強風を受け
被害にあった家々も見られたらしい。
その嵐のなかニックママと車に乗っていたけいちゃんは
この日の天候の変化に
その時の事を思い出すのか
”今に雨が降ってくるわよ
早く帰りましょ。” と
心配げに言う。
帰りの車の中で助手席に座ったカメ君が
両足を伸ばしダッシュボードにのせるので
それがどんなに危険か説明をしていると
”ばあちゃまの云う事をちゃんと聞いてる?” と
バックシートに座ったけいちゃんがカメ君に言い聞かせる。
この日二人と一緒に過ごした時間は
1時間ちょっとと短かったけど
笑ったり、感心したり、驚いたり
心に良い時間だった。