モダン・ガール/シーナ・イーストン(1981)
1.花束は贈らないで
2.クライ
3.テイク・マイ・タイム
4.眩しすぎる貴方
5.ワン・マン・ウーマン
6.愛のプリズナー
7.ムーディ・マイ・ラブ
8.9 To 5(モーニング・トレイン)
9.ソー・マッチ・イン・ラブ
10.ラジオの囁き
11.嵐の前の静寂
12.モダン・ガール
13.一人だけの秘密
14.夏の終わりに
本格的に1980年代に突入した頃、彗星の如くイギリスから登場したシンデレラ・ガールが、シーナ・イーストンであった。いきなり「モダン・ガール」と「9 To 5」がヒットし、文字通り一夜にしてスターとなった彼女は、デビュー翌年にはアメリカでのデビューシングル「9 To 5」を全米No.1とし、グラミーの新人賞を受賞、007シリーズの主題歌も担当したりなんかして、ほんと飛ぶ鳥落とす勢いだったのである。ここに紹介するのは日本でのデビューアルバムで、UK盤をベースに日本のみに収録曲を追加して(今で言うならボーナス・トラック)発売されたもの。写真は再発されたUS盤CDのものだが^^; 出てすぐ買ったので、日本発売は1981年の4月頃だったと思うのだが、その年の10月頃にはセカンドアルバムが発売された。正に日の出の勢いというか、旬のうちに商売してしまえ、というか(笑)
さすが、デビューアルバムだけに、初々しい歌声が聴ける訳だが、「モダン・ガール」でもそうだったけど、シーナの声ってやや硬い感じで、好きになれない人もいただろう。このアルバムでも、硬い声質に加え、低音部がしっかり出ていなかったりして、荒削りな印象。歌手としてはまだまだ、という所。ま、ジャケットでも分かる通り、可愛いけど鼻っ柱の強そうな顔だし(笑)、当時見た雑誌に、本人の「初めて買ったレコードはジギー・スターダスト」なんて発言が載ってたりもして、彼女自身はロック志向だったのかもしれない。けど、このアルバムは、完成度の高い洗練されたポップスであり、正に職人の仕事といった感じのサウンドと彼女の硬い声が、奇妙な化学反応を起こしているようで面白い(笑)
シーナ・イーストンが、新時代のシンデレラともてはやされたのは、そういったアイドル風だけどそうでもない、という所にもあったと思う。事実、ヒットした「モダン・ガール」にしても「9 To 5」にしても、歌のテーマがちと違う。前者は自立する女性の歌だし(キャリアウーマンなんて言葉はまだなかったけど、まさにそれ)、後者はズバリ不倫の歌である。確かに、アイドル然とした女性が歌う内容ではないわな(笑) ただ、そういった“新しい女性”のイメージでシーナを売り出した訳で、その目論見は見事に成功したと言えよう。けど、その割には、アルバムにはフツーのラブソングも入ってたりするんだけど(笑)
とはいえ、その硬い声さえ気にならなければ、表現力もあるし、収録曲はどれも粒よりだし(個人的オススメは、3.5.9.13.あたり)、前述したけどサウンドも見事だし、なかなかに気持ちよく聴けるアルバムだ。そういえば、「モダン・ガール」のコーラス部で、最初は主語が“She”なんだけど、最後には“I”に変わる。だけど、バックの男声コーラスはずっと“She”のままで、ポップスの奥深さを見た、なんて言ってる人もいたなぁ(笑) この頃は、結構会う人ごとに「シーナ・イーストンいいよ」なんて、薦めまくっていたものだ(爆)
でも、これ以降シーナのアルバムは買ってない。セカンドからの先行シングル「涙のブロークン・ハート」があまり好きでなかったので、結局買わずにそれきり(笑) でも、「リトル・テンダネス」のシングルは持ってる(笑) とはいえ、レンタルなどで、ずっとチェックはしてた。ある時期からダンス系に傾倒し、プリンスと引っ付いたりして、そちらを極めようとしてた事もあったなぁ。ま、それはそれで良かったと思うけど。90年代半ばには、オーケストラをバックにスタンダードを歌うアルバムを出してたような気がする。今はどうしてるのかな。ベスト盤以外は廃盤になってるようなのが残念だが。ヒット曲は多いけど、却って一発屋みたいなイメージを持たれてる感じもある。『マシーナリー』とか『ラバー・イン・ミー』とか、良いアルバムもあったんだけどね。惜しいなぁ。