女に生まれればよかった、と思うことがたまにある。何故なら、カラオケでユーミンの曲を歌えるからだ(笑)
学生の頃、同じ軽音楽サークルにユーミン好きが2人いた。どちらも身長が高くベーシストである、という共通点があったが、当時その2人に色々ユーミンを聴かせて貰って、ちょっとハマっていたことがある。といっても、荒井由実時代は今イチ馴染めず、松任谷姓になって以降の方が好きだった。フェイバリット・アルバムは、1981年の『昨晩お会いしましょう』、1982年の『Pearl Pierce』、1984年の『No Side』あたり。90年代のユーミンはほとんど聴いてない。80年代半ばあたりから、ユーミンは年末のクリスマス商戦に合わせて新作を出し、テレビCMとタイアップして話題作りをして売り上げに結びつける、という戦略をとるようになり、僕はその頃から少しづつ離れていったような気がする。1988年の『Delight Slight Light Kiss』がユーミン最後の名盤だと、今でも思っている。
数あるユーミンの名曲の中でも、僕は『昨晩お会いしましょう』収録の「カンナ8号線」が一番好きだ。そりゃ確かに、他にも良い曲はたくさんある。「スラバヤ通りの妹へ」もいいし「SALAAM MOUSSON SALAAM AFRIQUE」もいい。「もう愛は始まらない」「心のまま」「September Blue Morn」「消息」『Night Walker』あたりも捨て難い。有名な「DESTINY」「夕闇にひとり」もいい。『Re-Incarnation』の冒頭を飾るタイトル曲と「オールマイティー」の絶妙なシークエンスにも打ちのめされた。けど、一曲となると、何故か「カンナ8号線」なのだ。
とにかく、この「カンナ8号線」名曲である。歌詞に漂う寂寥感もいいが、メロディが秀逸。初めて聴いたのに、何度も聴いた事があるように感じられる。実際、僕もそうだった。初めて聴いた時、感動すると同時にミョーに懐かしさを覚えたものだ。で、ついでに言うと(笑)、ギターソロもカッコいい。
この曲、東京都内を走る環状8号線、すなわち“カンパチ”が舞台になっている、とつい最近まで思っていたが、ユーミン自身が北陸に行った時、国道8号線を走っていてインスパイアされたものであるらしい。確かに、歌詞に“波をバックに焼き付けたかった”とか“ドアを開けて波を聞こうよ”とかいう部分があるので、国道8号線説の方が正しいような気もする。
という訳で「カンナ8号線」、名曲なのである。