日々の覚書

MFCオーナーのブログ

Get Back in 1977

2022年06月18日 20時46分35秒 | 映画

最近、ビートルズの映画(と言っていいのか?)『ゲット・バック』が話題である。いや、もうピークは過ぎたかな?(笑) もちろん、ご覧になった人は多いと思うし、知り合いにもこれを見る為だけにサブスクと契約した人もいる(笑) あの有名な映画『レット・イット・ビー』のリメイクというか、要するに再編集版だが、当時(50年以上前!!)のフィルムやテープといった素材を使って作り直したものなので、悪かろうはずがない(たぶん) ファンならずとも興味を惹かれてしまうのは当然だが、聞いた話だとこの『ゲット・バック』、同じ素材を使っていても、こんなにも印象が違うものなのか、編集者の意向次第でドキュメンタリーなんて、どうにでもなってしまうのだ、とちょっとしたショックを覚える内容らしい。ふむふむ。

ネットで見たのだが、近頃『レット・イット・ビー』をひたすらアゲようとする動きがあるのが気に入らない、と自身のブログで言ってる人がいて、もちろん後追いで僕より一回りくらい下の人だと思うが、この人にとっては、『レット・イット・ビー』は映画もアルバムも駄作であり、ビートルズの黒歴史でしかない訳で、もちろんビートルズ当人も含めて、関係者は皆『レット・イット・ビー』をなかった事にしたいと思っていて、ただ腐ってもビートルズなので闇に葬る訳にもいかず、それで『レット・イット・ビー』の印象を良くする為にリメイク版を作り、古くからのファンはもちろん、新しいファンに対しても『レット・イット・ビー』は実は名作なのだ、と刷り込もうとしている、という事になるらしい。確かに、あの『ネイキッド』が出た時にも感じたが、ビートルズ周辺には今さら『レット・イット・ビー』の評価を上げようとする(印象を変えようとする)人がいるようだな、とは僕も感じていた。僕も今になって『レット・イット・ビー』をひたすら持ち上げようとする風潮は気に入らないが、前述のブログの人のように、黒歴史は黒歴史のままにしておけ、修正は不要、という主張とは異なる。僕の場合は

『レット・イット・ビー』は今も昔も名作である。今、名作にする必要はない。何故ならずっと名作だからだ。

改めて皆さんに問いたい。『レット・イット・ビー』は駄作ですか? 全く聴く価値はないのですか? ただのゴミですか?

皆さんご存知の通り、人気絶頂の中ライブ休止宣言をしたビートルズは、スタジオに籠もって、素晴らしい作品を次々と発表していくのだが、反面、バンドとしての結束は緩んでいく一方だった。それを危惧したポール・マッカートニーが、初心に戻ってバンドとしてリスタートしよう、という意図で始められたのが、『レット・イット・ビー』のセッションであり、「ゲット・バック・セッション」として知られている。その時の素材が映画とLPの『レット・イット・ビー』となった。LPもさることながら、僕個人は映画も好きだった。確かに明るいトーンの映画ではなかったけど、冒頭、スタジオにグランドピアノを運び入れる場面が妙に印象に残っている。映画を見たのはテレビで、確か中学生の頃と思うが、最初から最後まで彼らのあまりのカッコ良さに言葉もなかったのを思い出す。特にあのルーフ・トップ・セッション。カッコ良かったなぁ。暗かったのはトーンだけで、あの有名なギター・プレイをめぐってのポールとジョージの口論にしても、僕は双方にプロ意識を感じてたし、遊んでるんじゃないんだから、口論するのも当たり前と思って見てた。メンバーの仲は険悪で、いつケンカ別れしても不思議ではない、雰囲気も最低で、そこにいる誰もが逃げ出したがっていた、みたいな論評を聞くと、そう感じる人もいるのか、てな感じだった。人それぞれ、感じることは違うのだ。

ところが、その『レット・イット・ビー』から50年を経た今、改めて編集された『ゲット・バック』では、その印象が一変してるらしい。現場は緊張感が漂うものの和気藹々とした雰囲気で、休憩時間にはメンバー同士ダハコを吸いながら談笑するシーンもあるそうな。50年前のビートルズは決して仲が悪かった訳じゃないんだよ、ただ、当時のスタッフが悪意を持って編集しただけなんだよ、とでも言いたげだ。ま、僕は見てないので何とも言えないけど、そういうもんじないの、って気がする。仲良くもあり悪くもあり、というのがバンドってもんだ。確かに、仲悪い映像ばかり見せれば、ビートルズは仲悪いんだ、と誰しも思う。『レット・イット・ビー』はそういう印象を与えたかったのか。

アルバムの方も、「ゲット・バック・セッション」の音源を基に、グリン・ジョンズが編集したアルバムが『ゲット・バック』として発表される予定だったのだが、お蔵入りとなった。そして、ほったらかしにされた音源を再編集して、再度アルバムとしてまとめたのが、あのフィル・スペクター。こちらもポールと共に悪人にされているが(苦笑)、『レット・イット・ビー』に関しては、素晴らしい仕事をしたと僕は思う。このアルバムのどこが駄作なのか。確かに「レット・イット・ビー」と「ゲット・バック」が目立つのは仕方ないが、他の曲だって素晴らしいではないか。「トゥー・オブ・アス」「ワン・アフター909」「フォー・ユー・ブルー」どれも隠れた名曲だ。「アイ・ミー・マイン」「アイブ・ガット・ア・フィーリング」もある。スペクターが勝手にストリングスをダビングしたと言われる「ロング・アンド・ワインディング・ロード」だって名曲だし、後にポールがソロのライブでこの曲を披露した時、シンセでこのストリングスを再現してたという話もある。本当に怒ってたのか? 確かに、あの頃からマイナスの情報もあったけど、ちゃんと聞けば誰でも分かる。『レット・イット・ビー』は名盤だ。

という訳で、『ゲット・バック』には罪はないと思うが、何故今これを公開したのか、というのには疑問を感じる。そんなに『レット・イット・ビー』を葬りたいのか。また、同じ素材でも編集次第で印象が変わる、というのもある意味怖い。日々テレビで見るニュース映像も、マスコミの都合の良いいように編集されているのかも。

と、つい『ゲット・バック』というか『レット・イット・ビー』について長々と語ってしまったが^^;、今回メインのネタはこちらである。

 

なんと、今を去ること45年前(!)、ビートルズの映画が公開されたのだ。『シェア・スタジアム』と『マジカル・ミステリー・ツアー』の2本立て。↑は当時のパンフレットだ。そう、この時僕も見に行ったのである。時は1977年、僕は中学3年生だった。夏休みのある日、友人と4人くらいで横浜まで行った。あの頃まだ都会に慣れていない若造だった我々は、横浜には着いたものの、上映している映画館が分からず、あちこちで尋ねながら探し歩いた記憶がある。

↑のパンフレットは、もちろんその時買ったもの。左が表で右が裏。すっかり忘れてたけど、先日実家で偶然発見した。ほんと懐かしかった。色々な事が頭の中をよぎって一瞬時が止まったね(笑)

『シェア・スタジアム』『マジカル・ミステリー・ツアー』どちらもファンならずとも、よく知られた作品と思う。前者は、1965年8月15日にニューヨークのシェア・スタジアム(近頃では、シェイ・スタジアムと言うらしい。笑)で行われたビートルズのコンサートの記録映画である。なんでも、史上初の野外スタジアムでのロック・コンサートだったらしい。ビートルズは何でも先駆けだった。ま、スタジアムでのコンサートが当たり前となった今からすると、ステージも音もしょぼかった、というのは1977年当時も感じたように思う。あの頃、ビートルズのハリウッドボウルでのライブ盤が出たばかりで、特定の世代の人は覚えておられると思いますが(笑)、オープニングが「ツイスト・アンド・シャウト」で2曲目が「シーズ・ア・ウーマン」だったアレなんだけど、映画も似たような構成だったような。

 

『マジカル・ミステリー・ツアー』は元々テレビ放送用だったのだが、この頃劇場映画として公開されたらしい。賛否両論あるけど、純真な中学生は映画館ですっかり虜にされてしまった(笑) あれこれ難しい事を考えなければ、フツーに面白い映画と思う。

 

この2本とも、45年前に映画館で見て以来、全く見てない。記憶も怪しいな。どちらも今なら割と簡単に見れるのだろうか。ただ、『マジカル・ミステリー・ツアー』って映像作品としては出てないような気もする。

ビートルズって、やっぱり良い。そして凄い。

コメント
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