Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

マルのじれんま 17

2020-04-23 14:47:44 | 日記
 子供の親のエン方は、どうやらドクター・マルが星を出た当時の頃の、自分の苦労話をしているようです。星に残された自分や家族のその後の身の上を吐露しています。

 兄のマルの方はというと、やはり悪いと思ったのでしょう、弟の言い分を黙って聞いていました。彼は一頻弟の言い分を聞き終えると、今度は自分の方が口を開きました。

 「まぁ、お前には悪かったかもしれない。が、」

だがなぁと兄は言いました。お前、あの娘(こ)とは馬が合ってたじゃないか。昔から結構仲が良かったしな。そう言うと

「案外、あの娘と結婚出来て、お前の方は返って良かったんじゃないか?。」

ハハハという感じで、快活に笑ってマルは言いました。

 兄さん!。やや渋い顔をして、照れた様にエンは兄の名を呼びました。エンは少し考え込むように俯くと、その後は口数が少なくなりました。

 その後もマルの方は、まぁよかったじゃないか、お前の所は子供も多いし、私と違って夫婦円満だ。それに彼女の家は裕福だし、お前のお陰で家の家族も、故郷の星の裕福な一族の一員になれたんだ。皆、万事目出度し目出度しで万々歳じゃないか。

 兄がそう弟のエンを茶化すように言うと、エンは暗い顔付きになりました。

 全く喋らなくなった弟に、マルは何かしらエンの異変を感じました。その兄の予想の通り、彼の胸の内には大きく逆巻く物があったのでした。

 突然、大通りにいたシルはベンチから立ち上がりました。彼女は直ぐに近くにいた保安員のクルーを1人呼んで、彼に双子の姉妹の事を頼むと駆け出しました。そうです。彼女はドクター・マル達のいるパーラーへと向かったのです。

 シルが店に駆け込むと、先程座っていた場所のテーブルが割れて壊れ、坊主頭のマルが床に転がっていました。彼の傍には椅子が転がっています。椅子の横には金髪のかつらまでがぽたりと置かれた様に落ちていました。
 
 エンの方は険悪な表情で立ち上がり、興奮の為か息も上がっていました。

「あれは最後まで、…。」

そこ迄言うとエンは言葉を飲み込みました。彼はやって来たシルの顔に苦しそうな視線を1度投げかけると、拳を固く握り締めその場から駆け出しました。エンは店の出口に向かったのです。そのまま無言で足音高く店を出て行ったエンに、店内にいた一同は皆呆気に取られたまま彼を見送っていました。

 マルもまた無言でそんな弟をやり過ごすと、よろよろと立ち上がり、彼のユニホームに付いた埃をパタパタと払いました。マルの傍にやって来たシルが、彼の背中の埃を払うのを手伝いました。

 「やぁ、すまないね。」

見苦しい場面を見せてしまったなぁと、マルが照れる様に苦笑すると、シルはいいえと言いながら、気の毒そうにマルを見詰めました。彼女は店から出て行ったエンの方も気の毒にと思いました。そうして、マルに言葉を掛けました。

「弟さんの奥様は、亡くなられたんですね。」

そうなんだよ、そうだったんだね、私も初めて知ってね、と、マルは沈痛な低い声を彼女に返しました。

「あれも可愛そうに。」

6人の子供を抱えて細君に先立たれるとは。マルはそう呟くのでした。

マルのじれんま 16

2020-04-23 11:38:36 | 日記
 さて、マルとエンの言い争いは続いています。そこでエンは、ピー、マーの自分の娘達2人が、親に注ぐ視線に気付くと、彼女達に店の外へ行って遊んでいるよう促しました。

 「遠くに行かないようにね。」

または宿泊している部屋に2人で戻っても良いからと、エンは言葉を付け加えながら、子供達に騒いだり悪戯しないよう、周囲に迷惑にならないようにと注意しました。2人は、揃ってはい!、と返事よく、顔を見合わせると共に店の外へと駆け出して行きました。

 『おやおや、どうやら長期戦になるらしいわね。』

シルは思いました。それではお嬢さん方の面倒は私の方でみましょう。そう思ったシルは、自分が腰かけている場所から通路が伸びている、パーラーのお店の在る方向に目を遣りました。

 こちらの休憩コーナーには子供用の玩具などが設えてあります。外来者用の宿泊施設にしても、飲食店の並ぶ通りからこのシルのいる休憩コーナーの大通りを過ぎ、そこで幾本かの小通路に分かれ、その通路沿いの両側に扉が連なった形で並んでいます。その為、シルにはエンの娘達が自分のいる方向へやって来る事が直ぐに分かりました。

 シルが通りを見詰めていると、彼女の予想通り直ぐにピーとマーの姉妹がやって来ました。彼女達はそこに在った地球の遊具に取り付くと、枠になっている棒によじ登り腰を掛けました。

 「どうなると思う?」、「さぁ。」、そんな言葉を2人は話しています。シルは彼女達が自分に気付いていない様子なので、彼女達と自分を遮っているらしい楓の葉の陰に寄り、一層身を隠すようにして、そのまま姉妹の様子を静かに観察していました。

 「伯父さん、お父さんにそっくりだったね。」

「そうだね、聞いてはいたけれど、本当に私達みたいだった。」

ふふふと2人は頷いて、悪戯っぽく笑いました。ピーは、「あれだけ似ていれば、どちらがお父さんでも良いね。」と明るく笑います。マーの方は、「似ていても私達のお父さんは1人よ。」と、怒ったように言い返しました。

 「まぁ?」、「そう!」、…。2人は彼女達の父達に負けず劣らず、この場で口喧嘩を始めました。が、それもこの幼い2人にとって、何時もの仲の良い遊びになるのでした。それがそうだと気付くと、シルの方は彼女達に気を配りながら、再び彼女達の親の方へと注意を向けてみるのでした。

今日の思い出を振り返ってみる

2020-04-23 10:37:11 | 日記

親交 42

 家の中が何だか薄暗く感じます。これはミルの気持ちのせいばかりではありませんでした。実際に家の窓にある日除けが全て下ろされているのでした。日差しが差し込まない暗い中で彼が荷物を下ろ......

 曇り空に、少々寒い気温。寒の戻りだそうですが、暫く曇り空が多くなりそうな予報でした。
 コロナの感染者が出てから、瞬く間に3桁になった気がする4月でした。マスクの配布券嬉しいですね。感染者の数が福井県を抜いた時点で、こちらの県でもして欲しいねと希望していました。とても良かったです。