Reflections

時のかけらたち

Belfast

2022-09-15 21:28:53 | movie

 

7部門にノミネート。脚本賞をケネス・ブラナー監督が受賞

「ベルファスト」は、ブラナー監督が自らの経験を脚本に落とし込んだ自伝的な映画で、幸せな日常が突然の暴動で
悪夢に変わる、少年の目から見詰めた北アイルランド紛争の物語。同監督は「この物語は、暴力に直面しながらも
希望と喜びを模索する物語。痛ましい状況で亡くなった人を忘れない。人間の物語を伝えている…素晴らしい街
ベルファスト」などと語った。

Belfast  2021年 イギリス

監督、脚本、製作: ケネス・ブラナー
共同製作:セリア・デュヴァル
音楽:ヴァン・モリソン
撮影影:ハリス・ザンバーラウコス
美術:ジム・クレイ
メイクアップ: ワカナ・ヨシハラ
衣裳デザイン: シャーロット・ウォルター

キャスト カトリーヌ・バルフ、ジュディ・デンチ、ジェイミー・ドーナン、キアラン・ハインズ
     ジュード・ヒル、コリン・モーガン

 

8月の終わりにDVDでケネス・ブラナー監督の「ベルファスト」を見ることができました。Turning Pointと一緒に
借りていた作品で、ドライブ・マイ・カーと同じ時にオスカーを受賞した映画です。

作られて公開されたのは2021年ですが、アカデミー賞が決定されるときはロシアによるウクライナ侵攻が始まって
いました。このタイミングで見た人は誰もがウクライナのことを思ったと思います。

学生時代に北アイルランド紛争のことはよくニュースになっていてデブリン嬢とか覚えています。宗教による
住民同士の対立がエスカレートした時代です。

映画はそういう時代を過ごした監督が少年時代を懐かしみ、大切に今も思っていることを伝えるために作られた
ように思いました。命の危険を感じる中に何か温かいものを感じる映画でした。
またケネス・ブラナーの映画はいつも映像も美しく、アングルが素晴らしいです。

暴力と分断の中、故郷を去ることを決意した家族は今ウクライナで現実に起きていることを連想させました。

DVDの特典には監督自身へのインタビューやメイキング、もう一つのエンディングなどが入っていて
その中に監督がベルファストを訪れて「自分が何者かを忘れないでね」とかつてのあこがれの女の子が
そのままそこに住んでいたように出会うシーンで言われる言葉が印象的です。

家族で故郷で暮らすことがかなわなくなった一家は祖父母を置いて身の危険を感じる街を去っていきます。
どこに行っても味方だよと励ます祖母。亡くなったおじいさんに算数を教えてもらったよと話す少年。
そんな何でもないシーンに涙が出そうになってしまいました。

自分が何者であるかを忘れない、そして自分は一人でないことを。それは今私が亡くなった人にも囲まれて
過ごしているのと同じ感覚です。

ベルファストという町がこの世に存在してくれたことを感謝して

去っていった者たちと
残った人たちと
命を落とした者たちに捧ぐ

とテロップが流れました。

 

 

ケネス・ブラナー、映画『ベルファスト』メイキング&本編の特別映像【2022年3月25日公開】

 
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