先日、読売新聞から、「グーグル・ストレートビュー」とは別に、最近のバラエティ番組に関する取材を受けた。この秋、大量発生した<「感動」バラエティー>についてだ。
昨日11日の夕刊に記事が出たが、その中に、コメントが掲載されている。記事は森田睦記者。
記事タイトル:「感動」バラエティー花盛り
見出:民放3局 エピソードや歌を紹介
リード:
「感動するエピソード」を題材としたバラエティー番組が、10月から日本テレビ系、TBS系、フジテレビ系でそれぞれ始まった。クイズやお笑いタレントの一発ネタ全盛の中、なぜ今、バラエティーで「感動」なのだろうか。(森田睦)
本文:
フジ系「エチカの鏡」(日曜後9・00)は、実際にあった心動かされる話を、関係者の証言や当時の写真、映像を交えて紹介する番組だ。エチカとは、ラテン語で倫理の意味。これを「人の生きる道」「生きるヒント」と広く解釈して番組名にした。
エピソード紹介は毎回3本。まず、「あなたの生きがいは何ですか?」など、各エピソードのテーマに沿った問いかけに、レギュラーのタモリやゲストが体験談などを披露。その後、VTRを流し、見終わった後に改めて感想を言い合う形式で進行する。感動のあまり涙を流すゲストもいる。
宮道治朗プロデューサーによると、「人のふり見て我がふりどうなの?」というメッセージを込めたという。「放送される日曜の夜は、仕事から離れた素の状態で見る視聴者が多い。改めて自分を見直すきっかけになれば」。また、司会のタモリは「世の中に嫌な事件が多いから、(感動をテーマにした)こういう企画が出てきたのでは」と話す。
同じく日曜に、TBS系「地球感動配達人 走れ!ポストマン」(後10・00)が放送されている。依頼人の熱い思いが詰まった荷物を、若手芸能人が世界各地の受取人に配達するまでを追う。
配達人が海外に飛び出し、あまり現地についての情報がない中、出会った人と温かい交流をするという趣向は、9月までこの枠で放送されていた「世界ウルルン滞在記」の雰囲気を継承しており、感動系バラエティーの一つの型として定着している。
歌に焦点を当てたのが、日本系「誰も知らない泣ける歌」(火曜後9・00)。歌い手の下積み時代の苦労や夫婦愛など、歌詞にまつわるエピソードを紹介してから実際に歌を流すという趣向で、感情移入してじっくり聴けるような工夫がされている。
視聴者の反響も大きく、10月7日の初回放送から1週間で約1万6000件のメールや封書が寄せられた。「泣いてすっきりした」などの感想が多く、遠藤正累(まさたか)プロデューサーは「普段の生活の中では、意外と泣くことがない。だから泣ける番組が求められているのかもしれない」と話している。
テレビに詳しい碓井広義・東京工科大学教授(メディア論)は、「雑学系バラエティーが過当競争気味のため、新しいキーワードとして『感動』が出てきた。視聴者が自発的に感動する番組は生き残るが、うわべだけの感動を押しつけるような番組は淘汰(とうた)されるだろう」と話している。
(2008年11月11日 読売新聞)
昨日11日の夕刊に記事が出たが、その中に、コメントが掲載されている。記事は森田睦記者。
記事タイトル:「感動」バラエティー花盛り
見出:民放3局 エピソードや歌を紹介
リード:
「感動するエピソード」を題材としたバラエティー番組が、10月から日本テレビ系、TBS系、フジテレビ系でそれぞれ始まった。クイズやお笑いタレントの一発ネタ全盛の中、なぜ今、バラエティーで「感動」なのだろうか。(森田睦)
本文:
フジ系「エチカの鏡」(日曜後9・00)は、実際にあった心動かされる話を、関係者の証言や当時の写真、映像を交えて紹介する番組だ。エチカとは、ラテン語で倫理の意味。これを「人の生きる道」「生きるヒント」と広く解釈して番組名にした。
エピソード紹介は毎回3本。まず、「あなたの生きがいは何ですか?」など、各エピソードのテーマに沿った問いかけに、レギュラーのタモリやゲストが体験談などを披露。その後、VTRを流し、見終わった後に改めて感想を言い合う形式で進行する。感動のあまり涙を流すゲストもいる。
宮道治朗プロデューサーによると、「人のふり見て我がふりどうなの?」というメッセージを込めたという。「放送される日曜の夜は、仕事から離れた素の状態で見る視聴者が多い。改めて自分を見直すきっかけになれば」。また、司会のタモリは「世の中に嫌な事件が多いから、(感動をテーマにした)こういう企画が出てきたのでは」と話す。
同じく日曜に、TBS系「地球感動配達人 走れ!ポストマン」(後10・00)が放送されている。依頼人の熱い思いが詰まった荷物を、若手芸能人が世界各地の受取人に配達するまでを追う。
配達人が海外に飛び出し、あまり現地についての情報がない中、出会った人と温かい交流をするという趣向は、9月までこの枠で放送されていた「世界ウルルン滞在記」の雰囲気を継承しており、感動系バラエティーの一つの型として定着している。
歌に焦点を当てたのが、日本系「誰も知らない泣ける歌」(火曜後9・00)。歌い手の下積み時代の苦労や夫婦愛など、歌詞にまつわるエピソードを紹介してから実際に歌を流すという趣向で、感情移入してじっくり聴けるような工夫がされている。
視聴者の反響も大きく、10月7日の初回放送から1週間で約1万6000件のメールや封書が寄せられた。「泣いてすっきりした」などの感想が多く、遠藤正累(まさたか)プロデューサーは「普段の生活の中では、意外と泣くことがない。だから泣ける番組が求められているのかもしれない」と話している。
テレビに詳しい碓井広義・東京工科大学教授(メディア論)は、「雑学系バラエティーが過当競争気味のため、新しいキーワードとして『感動』が出てきた。視聴者が自発的に感動する番組は生き残るが、うわべだけの感動を押しつけるような番組は淘汰(とうた)されるだろう」と話している。
(2008年11月11日 読売新聞)