碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

冬のオープンカー、冬のオープンカフェ

2008年11月27日 | クルマ
クルマで大学に向かう途中、幌をオープンにしたロードスターとすれ違った。

一瞬、寒くないのかな、と思ったが、乗っていたのは、70歳代とおぼしき男性で、堂々の“オープンぶり”がカッコよかった。

以前、冬場のロケで、九十九里まで行った。乗せてもらったのは伊武雅刀さんのクルマだった。

待ち合わせの場所で待っていると、幌をいっぱいに開いたフォルクスワーゲン・ゴルフのカブリオレが近づいてきた。見ると、助手席で伊武さんが手を振っている。

乗り込んだカブリオレが、高速湾岸に向かってレインボーブリッジを渡る。風がすごい。しかし、伊武さんは、この酔狂なオープンドライブが楽しくて仕方ないようで、ずっと笑っている。

前のクルマを追い越すとき、抜かれるドライバーが、あきれたような顔で私たちを見ていた。そりゃそうだ、冬のレインボーブリッジをオープンで走っていくクルマの中で、伊武雅刀が大笑いしているのだ。

「男は、やせ我慢ですぞお!」と叫ぶ伊武さん。私も笑うしかなかった。


雑誌「旅」は、もう2009年1月号だが、特集は「パリのおしゃれカフェ」。表紙は、あのジェーン・バーキンで、中にはオープンカフェの写真がずらりと並んでいる。

オープンカーとオープンカフェ。どちらも、冬ともなれば、やせ我慢しかない。

秋のパリに行ったとき、オープンカフェで一休みしたけど、もう十分に寒かった。でも、ジェーン・バーキンが相席なら、多少寒くても苦じゃないかもしれない。

東京でも、あちこちにオープンカフェがある。ただ、あそこに座るのって、ちょっと照れくさくないですか? 

お店の前を歩くとき、そこに並ぶ椅子に腰掛けた人々を、なぜか見ないようにしながら、足早で通過している自分に気づく。座っていない私が照れることないのにね。

ふと、どこからか、伊武さんの「男は、やせ我慢ですぞお!」という雄叫びが聞こえたような気がした。

旅 2009年 01月号 [雑誌]

新潮社

このアイテムの詳細を見る