碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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クドカン脚本『11人もいる!』は、この秋のピカイチ

2011年10月27日 | メディアでのコメント・論評

『週刊新潮』から取材を受け、テレ朝の新ドラマ『11人もいる!』について話をさせていただいた。

最新号にその記事が掲載されている。

いや、さすが宮藤官九郎さん。

絶妙の脚本。

そして秀逸なキャスティング(笑)。

ワタクシ的には、この秋のピカイチ、超おススメの1本となっています。


「クドカン」 マジックで甦った
幽霊「広末涼子」


かつてのトップアイドルも結婚離婚再婚で2人の子持ちの広末涼子(31)、天才子役と呼ばれた頃もある神木隆之介(18)、芦田愛菜の出現にすっかり霞んだ“こども店長”加藤清史郎(10)。

他にも光浦靖子、田辺誠一と、ゴールデンタイムではとても並び得ぬ役者たち。そんな終わった感が満載のドラマ『11人もいる!』(テレ朝・夜11時15分~)が10月21日よりスタートした。

なにやらタイトルまで萩尾望都の名作マンガ『11人いる!』にそっくりでバッタモン感すら漂っているのだが、この評判がいい。

上智大学の碓井広義教授(メディア論)も、
「この秋、ピカイチといっていい。大家族ドラマの原点『ただいま11人』(64年・TBS)をも彷彿させていますが、完全に独自のものとしているところは、さすがクドカン」


脚本は宮藤官九郎。テーマは大家族だが、8人の子を持つ貧乏な10人家族に、死んだ先妻(広末)が幽霊となって現れて……。

「末っ子の清史郎君だけが後妻(光浦)の子で、残りは広末の産んだ子。しかも元ストリッパーという役どころ。この浮世離れした存在が、広末を自然に見せている。こんな使い方があったのかと感心した」(同)

こども店長に向かって“おっぱい触らせてあげよっか”なんていう広末を想像できただろうか。

「広末に綺麗だった過去を懐かしがらせたり、他の役者もみんな見直されるドラマだと思いますよ。大家族モノとはいえ、押しつけがましい家族愛ではなく、コメディだけど、ただ笑わせるだけでもない。自然な家族のよさが伝わってくる」(同)

深夜ながら視聴率は11.4%。幽霊で甦った広末。

(週刊新潮 2011.11.03号)