札幌シネマフロンティアで、映画『ブラック・サンデー』を観た。
愛好している「午前10時の映画祭」の1本だ。
ベイルートのテロ組織“黒い9月”は、スーパーボウルに沸く巨大スタジアムの上空で、巨大飛行船を爆破するという無差別テを計画。米大統領を含む8万人の大観衆の命を奪おうとする。そのことを知ったイスラエル特殊部隊カバコフ少佐(ロバート・ショー)たちが犯人グループを追跡するが、飛行船はついにスタジアムに突っ込んでいく…
監督はジョン・フランケンハイマー。
テロを実行しようとする元米軍パイロットにブルース・ダーン。“黒い9月”の女性テロリストはマルト・ケラーだ。
これは1977年の作品だが、当時、日本では公開されなかった。
上映予定の映画館を爆破するという脅迫があったため、公開一週間前、突然の上映中止が決まったのだ。
そういうわけで、後にビデオにはなったが、スクリーンで観るのは初めて。
「午前10時の映画祭」に感謝である。
ブルース・ダーンはベトナムで戦っていて撃墜され、捕虜となった兵士だ。
ひどい体験を経て帰国してみると、今度は妻や周囲の人間から疎外されていく。
確かスタローンの「ランボー」もベトナム帰りで、やはり社会から冷たい目で見られていたっけ。
全体はドキュメンタリー・タッチで、緊迫感が持続している。
一番の見せ場は、やはり飛行船がスタジアムへと向かうクライマックスだ。
どこかのんびりしたイメージの飛行船。
動きも緩慢で、音も静かなこの大きな飛行物体が大量殺戮兵器となる不気味さ。
船体に描かれた、タイヤメーカー「グッドイヤー」のロゴが忘れられなくなる。
「ジョーズ」が75年で、「ブラック・サンデー」がその2年後だから、ロバート・ショーは50歳だ。
それにしては、この映画の中で、まあ、よく走ること。
でも、公開の翌年、心臓発作を起こし、51歳で亡くなってしまった。
それから、もう30数年が経っている。
しかし、映画の背景となっていたパレスチナ問題は、今も深刻なままだ。