碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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「六本木クラス」竹内涼真の代表作になるかもしれない

2022年07月14日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

木曜ドラマ「六本木クラス」(テレビ朝日系)

竹内涼真の代表作になるかもしれない

 

竹内涼真主演「六本木クラス」(テレビ朝日系)の元になっているのは、言わずと知れた韓国のヒットドラマ「梨泰院(イテウォン)クラス」だ。

とはいえ、「梨泰院」を見た人、見ていない人、どちらも十分楽しめる1本になっている。「復讐物語」という軸がしっかりしているからだ。

主人公は、六本木で居酒屋を経営している宮部新(竹内)。初回では、物語の発端となる高校時代が描かれた。父の信二(光石研)が勤めていた長屋ホールディング会長・長屋茂(香川照之)と、息子である龍河(早乙女太一)との因縁だ。

何より、新の「追い込まれ方」が凄まじい。龍河のイジメを止めたばかりに退学処分。長屋に逆らった信二も退職。2人で居酒屋を始めようとした矢先、龍河が起こした交通事故で父が死亡。新は龍河を痛めつけて逮捕され、実刑判決を受ける。

竹内は静けさと熱狂の両面を併せ持つ主人公を好演。一昨年の日曜劇場「テセウスの船」と並ぶ代表作になる可能性もある。香川は土下座ネタも余裕で披露し、早乙女は卑屈な御曹司がハマり役。2組の父子の対比も鮮明で、新が復讐を誓うことに納得感があった。

担当の大江達樹プロデューサーも田村直己監督も、「ドクターX」シリーズの作り手たちだ。一見「和製韓国ドラマ」のテーストだが、きっちりテレ朝の「木曜ドラマ」に仕立てている。

(日刊ゲンダイ「TV見るべきものは!!」2022.07.13)