碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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2022年07月27日 | 気まぐれ写真館

 


「石子と羽男」は、カジュアルな社会派

2022年07月27日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

 

カジュアルな社会派を実現

金曜ドラマ

「石子と羽男―そんなコトで訴えます?―」

TBS系

 

弁護士の羽根岡佳男が中村倫也で、彼をサポートするパラリーガルの石田硝子が有村架純。この2人が主人公なら事件物でも法廷物でも、どんなタイプのリーガルドラマも作れそうだ。

しかし、金曜ドラマ「石子と羽男―そんなコトで訴えます?―」(TBS系)はひと味違う1本になっている。キーワードは「日常」だ。

普通の人が日常生活の中で遭遇する、思わぬトラブル。自力での解決が難しくなったとき、頼りになるのが近所の町医者のような弁護士、つまり「マチベン」だ。

羽根岡と硝子が扱うのは、自動車販売会社での社内いじめだったり、小学生がゲームに多額の”課金”をしてしまったりと、いかにも日常的に起きそうな事案ばかりだ。

しかも、物語は二重構造になっている。まずは、法律が便利に使える道具であることの教えだ。今年3月に終了した「バラエティー生活笑百科」(NHK)的な面白さがそこにある。

そしてもう1点は、出来事の奥にある社会問題にさらりと触れていることだ。それが企業のパワハラ問題だったり、家庭における教育格差の問題だったりする。

プロデュースは新井順子、演出が塚原あゆ子だ。2人が手掛けた「MIU404」では、事件を通じて隠れた「社会病理」を鋭く描いていた。

今回は、笑えるマチベンドラマの形を借りて、カジュアルな社会派を実現している。

(日刊ゲンダイ「TV見るべきものは!!」2022.07.26)