河太郎の読書日記

本とか映画とかいろいろ

サレンダー

2009-03-13 21:33:03 | 読書(小説)
ハートネット、河出書房新社。
オーストラリアの児童文学・・・っていうけど、
陰気な救いのない小説。
いや、あのラストに、救いはあるのだろう。
ラストシーンの映像化したいような鮮やかさ。
20歳の若さで寝たきりで死を待つ青年ガブリエル。
骨が発見されたといううわさがマルヤーンの町に広がる。
彼の持つ秘密とは。
同時進行で語られる、フィニガンと愛犬サレンダー。
二人の視点で物語が交互に語られ、最後にクライマックスを迎える。
兄を殺したというアンウェル(ガブリエル)の挿話は怖い。
厳格すぎる父母の元で徐々に壊れていくアンウェル。
フィニガンは実在するのか?サレンダーは?
このあたりはとても抽象化されている。
現代っ子の閉塞感を描いていることになるんだろう。
ラストのきらめきだけが救いだが、まるで蜘蛛の糸のよう。
ちょっと遠藤浩輝の「きっとかわいい女の子だから」を思い出した。
コメント
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