河太郎の読書日記

本とか映画とかいろいろ

ホルモー六景

2009-03-18 21:41:47 | 読書(小説)
万城目学、角川書店。
・・・ちょっと大物風になるのはまだ早いのではないか。
まだ2作書いただけなのに、続編短編だとか、エッセイ集とか。
しかも続編短編も、実在の人物を登場させてみたりとか。
どうもこういうのは好かない。無名の人でもいいじゃん。
似たような、モデルはこいつかなーってパロディでもいいじゃん。
なぜに本物なのか。
ホルモォォォなどと叫ぶ小説なのだから、
異次元のままにしておけばよかったのに・・・と思ってしまう。
一つ一つは、よくできた話だとは思いますよ。
二人静の小ホルモーとか、少年と楠木ふみの小話とか。
東京版ホルモーなんか風呂敷広げすぎでは。
とかいいつつ、今度出たプリンセス・トヨトミだったかも気にはなるのだ。
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幽談

2009-03-14 22:18:08 | 読書(小説)
京極夏彦、メディアファクトリー。
この人、寡作になってきているよね。
出始めのころは、毎年出てたのにな。
ちょっと不思議な話を集めた作品集。
「下の人」こわいっす。
妙にリアルで。
リアルと言えば「成人」のホントっぽい語り口。
一人称というのは、読みながらだまされる感じだなあと
それは京極堂の第一作目からそうなわけだが。
ほかに「手首を拾う」「ともだち」「逃げよう」
「十万年」「知らないこと」「こわいもの」
こわいものって、何を見たんだろうなあ・・・
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サレンダー

2009-03-13 21:33:03 | 読書(小説)
ハートネット、河出書房新社。
オーストラリアの児童文学・・・っていうけど、
陰気な救いのない小説。
いや、あのラストに、救いはあるのだろう。
ラストシーンの映像化したいような鮮やかさ。
20歳の若さで寝たきりで死を待つ青年ガブリエル。
骨が発見されたといううわさがマルヤーンの町に広がる。
彼の持つ秘密とは。
同時進行で語られる、フィニガンと愛犬サレンダー。
二人の視点で物語が交互に語られ、最後にクライマックスを迎える。
兄を殺したというアンウェル(ガブリエル)の挿話は怖い。
厳格すぎる父母の元で徐々に壊れていくアンウェル。
フィニガンは実在するのか?サレンダーは?
このあたりはとても抽象化されている。
現代っ子の閉塞感を描いていることになるんだろう。
ラストのきらめきだけが救いだが、まるで蜘蛛の糸のよう。
ちょっと遠藤浩輝の「きっとかわいい女の子だから」を思い出した。
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天竺熱風録

2009-03-10 21:37:21 | 読書(小説)
田中芳樹、祥伝社ノン・ノベルス。
「バルト海の復讐」や「ラインの虜囚」もそうだけど、
昔の小説風語り口が最近多いのは、この作品からなのかな。
「第△回主人公が○○すること」みたいなタイトルと、
あんたは誰?ふうの語り口。「西遊記」とか「水滸伝」とか。
それはそれで面白いけど、短い話が長くなっている気もする。
もともと実在していた人物を、古い資料を読み解いて、
おもしろおかしく語っているので、細かく語ろうにも分からない。
分からないところを想像で補うか、語りで埋めるか、って感じ。
もともと、銀英伝のころから、「後世の歴史家はこういっている」だけどな。
唐の時代に、3回も唐とインドを往復した男、王玄策。
その、2回目の道行き。彼は、いかにして、チベット・ネパール軍をして、
インドの戒日王亡き後の傀儡政権を打ち倒したか。
歴史的に面白い男なんだろうけど、人物はそれほど面白くもないな。
まじめな、いい人。
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DVD「善き人のためのソナタ」

2009-03-07 12:09:58 | 映画
金曜シネマで見損ねたので、借りてみた。
タイトルは、その後自殺する友人から送られた楽曲。
西と東に分かれていたころの東側のドイツ。
劇作家ドライマンの恋人クリスタ(CMS)が、政府の高官の愛人で、
ちょいと機嫌を損ねたあたりから、ドライマンの盗聴が始まる。
友人の自殺を機に、西で作品を公表したいと考えるようになる。
一方、中心になって盗聴をする冷酷なヴィースラー大佐。
この人の顔が無表情でかなり怖い。
だけど盗聴を重ねるにつれ、影響を受け、変化が出始める・・・
タイトルのソナタをドライマンが演奏したあたりが頂点か。
あんなに冷酷そうなのに、変わるの早いなあとは思ったんだが、
お話が、盗聴作戦にオチが付いてからも、じわじわっと続くせいかも。
4年後、2年後、2年後、みたいに。ちょっとくどいような・・・。
ドライマンも個性ないし。クリスタはきれいだな。
ほんでもまあ、数十年前にはこんな時代もあったんだなあ、ということか。
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