いくつかの加工先や加工方法を見て今回のオーダーを済ませた三日目の午後は市内観光をしました。
ドライバーの付いたレンタカーで市内を回ってもらいました。
「一人で行ってもらって構わない。但し車からは降りない事。どうも君は一人で異郷の地に降りると興味のままにどこにいってしまうかわからない。今回はビジネスのために来たはずだ。私たちはビジネスパートナーの安全を守らないとならない。君がこの街に魅力を感じたのは嬉しい事だけれど、それを肌で感じたいのならば私たちの知らないところで来て欲しい。その代わり、安全は保証できない。でも、仮にそんな時であってもビジネスパートナーがトラブルに巻き込まれるのは本意ではないけれど。」
バレバレだ。
彼らには言葉が全くできない僕にこの三日間を費やしてもらった。これ以上の手間をかけさせる事などできるはずはない。
二日間、方々の工房に行くために様々な街を通ってきた。とてもエキサイティングな街だった。
ラフカディオ・ハーンが先生から言われた様に、第一印象は全てに勝るのかも知れないけれどそれを封印する必要などない。
コースは既にビジネスパートナーが決めてくれていた。のだと思う。実はそれすらもわからない。ただドライバー氏がコースを選んだとは思えない。
運転手氏はありがたい事に少し英語ができた。
「これからあの橋を渡るんだ。」
「これはキリスト教教会」「クリケット場」「ヒンドゥー寺院」
様々、ガイドをしてくれた。残念ながらいくつかはわからなかったけれど、Google mapを見ながら回った。
でも途中からそれを止めた。目の前にある構造物の名称を知る事よりも目に映る事、そのものの方が大切だ。或いはドライバー氏が説明しようとしてくれている気持ちを受け止める事の方が大切だ。
車が渋滞するバザールを通る。世界一の人口になったこの国の人混み、圧倒的な物量の商品。
ドライバー氏は言う「果物、バッグ、ウェア、花、ここでは何でも売っている!なんでもあるんだ!everything!」彼は力を込めて何度も「everything!」と強く言った。
深夜特急の中で沢木耕太郎は「カルカッタには全てがあった」と書きます。
フィクションかどうかは別にして僕はそんなにタフな旅行をしたわけではないし、今はネットには凡ゆる情報があります。
ドライバー氏が力を込めて言ったのは「バザールでは何でも売っているいるんだ!」と言うだけの事でしたが、それでも僕には十分でした。
今回、こんな体験ができたのはとても幸せな事でした。
全ての人に感謝をしないとなりません。
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