染織工房きはだや 「店主の独り言」

きはだや店主が今日の出来事を語る。喚く。話す。切る。
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椅子の神様

2019年10月30日 | 店主の一日
僕は椅子が好きです。
「建築として最小のものだ」とか「一番シンプルな建築」とかいろいろ言われるようですが、まあ、僕にとってはその辺のことはわかりません。
デザインと機能のバランスが好きなのかもしれません。
でも、結構、椅子って高いので買えません。

都内に出た時に時々、寄るのは京橋の「LIXIL」ギャラリー。

無料だし。とても興味深い展示をしています。
先日通ったら「椅子の神様 宮本茂紀の仕事」展
僕は別に専門家でもないので、氏の名前は新聞か何かでちらと見たことがある程度で詳しくは存じあげず。

展示には氏がデザインした椅子(三点:撮影不可)と中身が見えるようになった椅子、他数展がありました。
中身が見えるようになっている椅子はなるほどで、同じフレームの椅子で時代の変化に合わせて使っている素材が変わっているのが見て取れます。
「馴染むけれども早く傷む」「作りやすいけれども馴染みにくい」となるほど。その時代と使用素材によって作り方や座り心地が全く違うのがわかります。
中で見える他に、通常に作ってある椅子があって、実際に座ることができます。

なるほど、素材によって座った感じが全く違います。


他にも氏がデザインした椅子に座ることができます。
木の背もたれのついた椅子はとても心地よく座ることができます。
椅子のデザインを見て楽しむのもよいですが、そのよさは実際に座ってみて初めてわかるものです。


これは僕たちが作る織物にも似ています。

以前、ある御仁が言っていたことがあります。
「日本工芸展(毎年、秋に三越日本橋本店で開催されています)に出品される織物は横に、ハギレを置いて誰でも触れるようにしてもらわないと意味がない。織物の本質はその織り出された柄ではなくて、糸の組み合わせの妙味にある」と。
なるほど、膝を打ちました。

僕が椅子を好きな理由は意外とデザインと機能のバランスが椅子と織物の共通点にあるのかもしれません。
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