2015年07月01日
モスクワ発
[大統領からカムチャツカ地方への贈り物 流し網漁業禁止]
2015年7月1日、大統領プーチンがロシア排他的経済水域における流し網漁業禁止法案に署名したことが確認され、当該法律は成立した。
7月1日は、カムチャツカ地方が成立した記念日であり、ロシア一般紙(WEB)は、大統領からカムチャツカ地方への贈り物と題し、ロシア極東の歴史的出来事と位置づけてこの件を報じた。
2015年06月26日
在日ロシア連邦大使館 認証済アカウント @RusEmbassyJ
[在日ロシア連邦大使館 流し網漁禁止にかかる上院議長マトヴィエンコの説明]
ロシアの排他的経済水域での流し網漁が禁止されるといったテーマについて話します。日本のマスコミで、残念ながら、あまり反映されなかったロシアの上院議長の説明を紹介します。これはとても分かりやすいものでありながら、はっきりしたロシアの立場も伝えていると思います。
(1)流し網漁禁止法の目的はロシア経済の安全性維持と沿岸地域の社会経済状況の改善です。数十年にわたってロシアの排他的経済水域で行われているサケ・マス流し網漁は、世界の海洋生物資源に甚大なダメージを与えています。
(2)このような野蛮な漁法(流し網漁)がサケ・マスの資源量に破局的な影響を及ぼし、とりわけオジョールナヤ川のベニザケといった非常に貴重な種の資源量が消滅しかけています。
(3)極東の沿岸漁業ではサケ・マスの漁獲高が大幅に減少しており、2011年に50万4000トンだったものが、2014年には33万トンになっています。これは特にカムチャッカで顕著であり、同地域の漁獲高はほぼ半減しました。
(4)これにより沿岸地域の社会経済状況は悪化し、失業率が上昇し、地方の税収が減少しました。このほか、流し網漁は海洋の生物多様性に取りかえしのつかない明らかなダメージを与えています。
(5)毎年、10万羽以上の海鳥、数百頭の海洋哺乳類、稀少なクジラなどが流し網にかかって命を落としています。
(6)1991年の国連総会では、各国に流し網漁のモラトリアムを勧告する決議が採択されています。これを受け、ロシア、アメリカ、カナダを除く全ての国が、公海と排他的経済水域での流し網漁を禁止しました。
(7)ただし、アメリカとカナダの流し網漁は厳しく規制されており、全長500m以内の短い網を使って行われる点がロシアとは異なります。ロシアでは、各船舶が全長32km以上の流し網を配列にして入れています。
(8)さらに、ロシアはただ流し網漁を行うだけではなく、外国にも同様の方法による漁を認めている唯一の国です。
(9)これまで流し網漁を行ってきた船の船主が、船舶の艤装替えをできるよう、流し網漁禁止の決定が発効するのは2016年1月1日になっています。
(10)禁止条項はロシア船だけでなく、外国船にも関係します。2014年にロシアの排他的経済水域でタイヘイヨウサケ属の流し網漁を行った船舶は、ロシア船が16隻、日本船が35隻でした。
(11)流し網漁禁止法は決して日本に向けられたものではありません。私たちは流し網漁という有害で危険な漁法を原則として禁止しているのです。ロシアは日本のパートナーと協力関係を発展させていきたいと考えています。
(12)日本の漁船にロシアの排他的経済水域での操業を認める1985年の協定は有効なままであり、破棄されることはありません。
(13)ただ日本側にも、国際的な要求にしたがって、魚類資源量に悪影響を与えず、海洋生態系を損なうことのない文明的な方法で漁を行っていただかなくてはなりません。
流し網漁禁止法に関するロシアのV.マトヴィエンコ上院議長の演説とインタビューより
2015年07月03日
北海道新聞(ユジノサハリンスク栗田直樹)
[サハリン漁業者提訴も 流し網漁禁止ロ政府に補償要求]
ロシア水域の流し網漁禁止法成立を受け、ロシア国内のサケ・マス流し網漁の拠点サハリン州の漁業者は、来年以降の漁獲枠を既に購入しているとして、代替漁や補償などをロシア政府に求めている。解決策が示されなければ、政府を相手に訴訟も辞さない構えだ。
サハリンの流し網漁業者らは2010年から10年間のサケ・マス漁獲枠を国から約2億ルーブル(約4億4千万円)で購入済みのため、法律に定めた16年1月からの禁止時期の延期を求めたが、認められなかった。
他の漁法では採算が合わず、このままでは現在操業する13隻の乗組員ら約500人が失業する危機だ。来年以降、別の魚種の漁獲も含め安定的な操業を要求しており、複数の船主は「最終的には、政府に補償を求めるなど裁判の準備も考えている」と明かす。
一方、ロシア政府は9月にプーチン大統領がサハリンを訪聞し、漁業に関する国家評議会の開催を計画している。漁業者の間には「大統領が流し網禁止に伴い何らかの対策をサハリンで打ち出すのでは」との期待感も広がりつつある。
2015年07月01日(20時31分)
NHK
[ロシア大統領 流し網漁禁止法案に署名]
ロシアのプーチン大統領は、日本の漁船も操業しているロシアの排他的経済水域でのサケとマスの流し網漁を禁止する法案に署名しました。この法律が成立したことで、日本の漁船は来年1月から漁を行うことができなくなり、漁の継続を求めてきた日本との関係に影響が出ることも予想されます。
ロシアでは、資源保護を理由に、排他的経済水域でのサケとマスの流し網漁を禁止する法案が、先月10日下院で可決されたのに続いて、24日には上院でも可決されました。
ロシア政府によりますと、プーチン大統領はこの法案に署名し、1日、禁止する法律が、大統領令や法律が掲載されるホームページを通じて公布されました。
ロシアの排他的経済水域でのサケとマスの流し網漁を巡っては、日本の漁船も、日ロの政府間協議に基づき一定の料金を支払って操業を行ってきました。しかし、この禁止する法律が成立したことで、来年1月から漁を行うことができなくなります。
ロシア側は、この法律はロシアの漁船も対象になっていることから、日本を標的にしたものではないとして日本側に理解を求めています。
ただ、安倍総理大臣が先月24日にプーチン大統領と電話で会談した際も、配慮するよう求めるなど、日本政府は再三にわたって漁の継続を求めてきただけに、今後、日本との関係に影響が出ることも予想されます。
岸田外相「極めて残念」
岸田外務大臣は「政府として、日本の漁業者が操業を継続できるよう、重ねてロシア側に働きかけてきたにもかかわらず、法律が成立したことは極めて残念だ。これ以上、日本の漁業者に影響が出ないよう、ロシアとの漁業協力に、引き続き適切に対応していく」という談話を発表しました。
林農相「万全の対策を講じたい」
林農林水産大臣は「ロシア政府や議会に対して、流し網漁の存続を働きかけてきたが、法律が成立したことは極めて残念に思う。サケとマスの流し網漁は北海道東部を中心に地域経済の中核を担う重要な漁業の1つで大きな影響が懸念されるため、万全の対策を講じたい」とする談話を1日夜、発表しました。
モスクワ発
[大統領からカムチャツカ地方への贈り物 流し網漁業禁止]
2015年7月1日、大統領プーチンがロシア排他的経済水域における流し網漁業禁止法案に署名したことが確認され、当該法律は成立した。
7月1日は、カムチャツカ地方が成立した記念日であり、ロシア一般紙(WEB)は、大統領からカムチャツカ地方への贈り物と題し、ロシア極東の歴史的出来事と位置づけてこの件を報じた。
2015年06月26日
在日ロシア連邦大使館 認証済アカウント @RusEmbassyJ
[在日ロシア連邦大使館 流し網漁禁止にかかる上院議長マトヴィエンコの説明]
ロシアの排他的経済水域での流し網漁が禁止されるといったテーマについて話します。日本のマスコミで、残念ながら、あまり反映されなかったロシアの上院議長の説明を紹介します。これはとても分かりやすいものでありながら、はっきりしたロシアの立場も伝えていると思います。
(1)流し網漁禁止法の目的はロシア経済の安全性維持と沿岸地域の社会経済状況の改善です。数十年にわたってロシアの排他的経済水域で行われているサケ・マス流し網漁は、世界の海洋生物資源に甚大なダメージを与えています。
(2)このような野蛮な漁法(流し網漁)がサケ・マスの資源量に破局的な影響を及ぼし、とりわけオジョールナヤ川のベニザケといった非常に貴重な種の資源量が消滅しかけています。
(3)極東の沿岸漁業ではサケ・マスの漁獲高が大幅に減少しており、2011年に50万4000トンだったものが、2014年には33万トンになっています。これは特にカムチャッカで顕著であり、同地域の漁獲高はほぼ半減しました。
(4)これにより沿岸地域の社会経済状況は悪化し、失業率が上昇し、地方の税収が減少しました。このほか、流し網漁は海洋の生物多様性に取りかえしのつかない明らかなダメージを与えています。
(5)毎年、10万羽以上の海鳥、数百頭の海洋哺乳類、稀少なクジラなどが流し網にかかって命を落としています。
(6)1991年の国連総会では、各国に流し網漁のモラトリアムを勧告する決議が採択されています。これを受け、ロシア、アメリカ、カナダを除く全ての国が、公海と排他的経済水域での流し網漁を禁止しました。
(7)ただし、アメリカとカナダの流し網漁は厳しく規制されており、全長500m以内の短い網を使って行われる点がロシアとは異なります。ロシアでは、各船舶が全長32km以上の流し網を配列にして入れています。
(8)さらに、ロシアはただ流し網漁を行うだけではなく、外国にも同様の方法による漁を認めている唯一の国です。
(9)これまで流し網漁を行ってきた船の船主が、船舶の艤装替えをできるよう、流し網漁禁止の決定が発効するのは2016年1月1日になっています。
(10)禁止条項はロシア船だけでなく、外国船にも関係します。2014年にロシアの排他的経済水域でタイヘイヨウサケ属の流し網漁を行った船舶は、ロシア船が16隻、日本船が35隻でした。
(11)流し網漁禁止法は決して日本に向けられたものではありません。私たちは流し網漁という有害で危険な漁法を原則として禁止しているのです。ロシアは日本のパートナーと協力関係を発展させていきたいと考えています。
(12)日本の漁船にロシアの排他的経済水域での操業を認める1985年の協定は有効なままであり、破棄されることはありません。
(13)ただ日本側にも、国際的な要求にしたがって、魚類資源量に悪影響を与えず、海洋生態系を損なうことのない文明的な方法で漁を行っていただかなくてはなりません。
流し網漁禁止法に関するロシアのV.マトヴィエンコ上院議長の演説とインタビューより
2015年07月03日
北海道新聞(ユジノサハリンスク栗田直樹)
[サハリン漁業者提訴も 流し網漁禁止ロ政府に補償要求]
ロシア水域の流し網漁禁止法成立を受け、ロシア国内のサケ・マス流し網漁の拠点サハリン州の漁業者は、来年以降の漁獲枠を既に購入しているとして、代替漁や補償などをロシア政府に求めている。解決策が示されなければ、政府を相手に訴訟も辞さない構えだ。
サハリンの流し網漁業者らは2010年から10年間のサケ・マス漁獲枠を国から約2億ルーブル(約4億4千万円)で購入済みのため、法律に定めた16年1月からの禁止時期の延期を求めたが、認められなかった。
他の漁法では採算が合わず、このままでは現在操業する13隻の乗組員ら約500人が失業する危機だ。来年以降、別の魚種の漁獲も含め安定的な操業を要求しており、複数の船主は「最終的には、政府に補償を求めるなど裁判の準備も考えている」と明かす。
一方、ロシア政府は9月にプーチン大統領がサハリンを訪聞し、漁業に関する国家評議会の開催を計画している。漁業者の間には「大統領が流し網禁止に伴い何らかの対策をサハリンで打ち出すのでは」との期待感も広がりつつある。
2015年07月01日(20時31分)
NHK
[ロシア大統領 流し網漁禁止法案に署名]
ロシアのプーチン大統領は、日本の漁船も操業しているロシアの排他的経済水域でのサケとマスの流し網漁を禁止する法案に署名しました。この法律が成立したことで、日本の漁船は来年1月から漁を行うことができなくなり、漁の継続を求めてきた日本との関係に影響が出ることも予想されます。
ロシアでは、資源保護を理由に、排他的経済水域でのサケとマスの流し網漁を禁止する法案が、先月10日下院で可決されたのに続いて、24日には上院でも可決されました。
ロシア政府によりますと、プーチン大統領はこの法案に署名し、1日、禁止する法律が、大統領令や法律が掲載されるホームページを通じて公布されました。
ロシアの排他的経済水域でのサケとマスの流し網漁を巡っては、日本の漁船も、日ロの政府間協議に基づき一定の料金を支払って操業を行ってきました。しかし、この禁止する法律が成立したことで、来年1月から漁を行うことができなくなります。
ロシア側は、この法律はロシアの漁船も対象になっていることから、日本を標的にしたものではないとして日本側に理解を求めています。
ただ、安倍総理大臣が先月24日にプーチン大統領と電話で会談した際も、配慮するよう求めるなど、日本政府は再三にわたって漁の継続を求めてきただけに、今後、日本との関係に影響が出ることも予想されます。
岸田外相「極めて残念」
岸田外務大臣は「政府として、日本の漁業者が操業を継続できるよう、重ねてロシア側に働きかけてきたにもかかわらず、法律が成立したことは極めて残念だ。これ以上、日本の漁業者に影響が出ないよう、ロシアとの漁業協力に、引き続き適切に対応していく」という談話を発表しました。
林農相「万全の対策を講じたい」
林農林水産大臣は「ロシア政府や議会に対して、流し網漁の存続を働きかけてきたが、法律が成立したことは極めて残念に思う。サケとマスの流し網漁は北海道東部を中心に地域経済の中核を担う重要な漁業の1つで大きな影響が懸念されるため、万全の対策を講じたい」とする談話を1日夜、発表しました。