ロシア漁業ニュースヘッドライン

北海道機船漁業協同組合連合会
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一般社団法人北洋開発協会

北朝鮮 突然の小型漁船の操業禁止と水産物輸出禁止

2015-10-29 13:54:41 | 日記
2015年10月15日
北朝鮮発 Radio Free ASIA
[北朝鮮 小型漁船の操業禁止]
北朝鮮の東海岸では、初夏から秋にかけてがイカ漁業の最盛期だ。
イカを満載した漁船が入るたびに仲買人や加工業者が港に集まり、さながら「イカラッシュ」の様相を呈するが、東海岸の清津(チョンジン)の港の様子に異変が起きている。
異変の理由は、北朝鮮当局が*小型漁船の操業を一切禁止し、人民軍の水産基地、外貨稼ぎ機関、中国の水産会社に漁業権を与えたためとされている。
(報告担当者 原口聖二:北朝鮮の小型漁船禁止命令は脱北防止が理由とされている。)


2015年10月29日
北朝鮮発 Daily NK
[北朝鮮 突然の水産物輸出禁止で軍人と庶民は喜ぶも市場が大混乱]
北朝鮮の金正恩が水産物輸出禁止令を下したことが明らかになった。
江原道(カンウォンド)のデイリーNK内部情報筋によると、禁止令に伴い一切の水産物が税関を通過できなくなっている。
朝鮮人民軍の各軍部が運営している「水産事業所」や外貨稼ぎ機関「大成総局」の傘下にある「輸出水産事業所」で水揚げした水産物は、近隣の軍部隊に送られるようになった。
また、内閣が管理する水産事業所や輸出加工事業所も、水揚げした水産物を国内の都市部や内陸の市場に出荷するようになっている。
一般の軍人たちは、お目にかかることすらなかったイカ、カニ、エビなどが食べられるようになり、喜んでいる。
また、一部は市場に横流しされ、販売される水産物の量が増えた。
ところが、この措置が思わぬ波紋を呼んでいる。
水産事業所から出荷される水産物が市場に大量に流れ込んでいるところに、軍の幹部の横流しも加わったため、供給過剰に陥り、価格が暴落してしまったのだ。
庶民は喜んでいるものの、商人たちの表情は晴れない。
水産事業所の幹部たちは、輸出ができなくなったことで自らの生活にも著しい影響が生じて、沈痛な面持ちで日々を過ごしているとのことだ。
北朝鮮当局は、中国漁船に北朝鮮沿岸での漁業権を売り払い、漁民が困窮するに至るや、中国漁船の操業を禁止した。
一方で「脱北防止」の名目で小型漁船の出漁を禁じ、漁民を困窮に陥れるなど、漁業政策は朝令暮改そのものだが、今回の金正恩の唐突な指示については、相反する二つの見方が存在する。
ひとつは金正恩の金庫に余裕ができたためではないかというものだ。
北朝鮮が水産物の輸出で得る外貨は決してバカにできない額だ。
韓国の大韓貿易投資振興公社(KOTRA)の資料によると、北朝鮮が2014年に海産物の輸出で得た外貨は1億4400万ドル(約173億2000万円)に達し、輸出総額に占める割合は5%近い。
北朝鮮軍の各軍団の持つ「第18水産事業所」や各道の「輸出水産事業所」で儲けた外貨は、金正恩個人、または労働党の金庫に入る仕組みになっている。
従って、これら金庫に相当の余裕ができたので、水産物の輸出を全面禁止する措置を取ったという見方だ。
もうひとつの見方は、金正恩が軍部や一般住民の支持を得るために、現実を無視して水産物の輸出を禁止したのではないかというものだ。
情報筋は「金正恩は軍部隊の視察を頻繁に行い、数十隻の漁船を軍傘下の水産事業所に回すなど、軍人の食の問題を重視してきたが、その漁船で漁獲した水産物はすべて輸出に回され、軍人の口に入ることはなかった」とその背景を説明した。
一方で「軍人に魚をいっぱい食わせろ」と言った指示は、20年以上前の考え方だとこき下ろした。
市場経済の発展で食料事情は改善したものの、一部では依然として餓死者が出る状況の北朝鮮。
そのような状況で今回の「飢餓輸出」の停止は英断とも言えるが、市場のメカニズムを無視した急激な措置は、経済発展の障害となりうることを金正恩は学ぶべきだろう。
コメント
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