2020年02月20日
リポート:北海道機船漁業協同組合連合会内
一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[2019年ロシア漁業者太平洋サケマス操業レヴュー]
1 極東全体
ロシア漁業者による昨年2019年漁期(-11月15日)の太平洋サケマスの総体の生産量は49万7,740トンで、この内カラフトマスが32万9,390トンを占め、シロザケは11万1,830トン、ベニザケが4万6,530トンだった。
2 地域別
地域別では、カムチャツカ地方(37万7,770トン)に生産が集中、北海道に隣接するサハリン州(7万6,390トン)の落ち込みが顕著となり、北部への資源来遊の偏りが強まった。
カムチャツカ地方の特徴として、依然として東カムチャツカ沿岸(26万600トン)が主漁場であることに変わりはないが、西カムチャツカ沿岸でのカラフトマス(6万210トン)の増産が特徴的なものとなった。
一方、北海道に隣接するサハリン州の主漁場の東サハリン沿岸のカラフトマスは、2013年の16万2,780トンから、報告漁期は5,770トンまで落ち込んだ。
なお、南クリールのシロザケは、漁獲勧告2万3,060トンに対し、2万6,740トンの実績となった。
3 その他(カラフトマス豊漁年・不漁年)
水産庁・国立研究開発法人水産研究教育機構の“国際漁業資源の現況”によると日本系カラフトマスは1994年以降、偶数年が豊漁年で奇数年が不漁年というパターンがしばらく続き、2003年以降にこの豊漁・不漁年の関係が逆転したものの、最近10年間は豊漁不漁のパターンは不明瞭になったとリポートしている。
ロシア沿岸沖合についても、最近10年間を見たとき、2014年に変化が確認されるものの、やはり不明瞭な状況となっている。
なお、ロシア科学研究機関は、この2014年前後の変化に関連し、当時サハリン南部沿岸の生産が急増したことについて、択捉島系資源の多くがサハリン南部へ移動したことが原因と指摘し、偶数年と奇数年で豊漁年が入れ替わる時には大規模な地域別の変動がある可能性があると、2017年にリポートしている。
4 添付情報
①2010年-2019年漁期開始から11月15日までの太平洋サケマス漁獲量(単位:トン)
②2017年-2019年漁期開始から11月15日までの主地域別太平洋サケマス漁獲量(単位:トン)
③2013年-2019年(奇数年)漁期開始から11月15日までの主地域別カラフトマス漁獲量(単位:トン)
④北海道隣接サハリン州カラフトマス 2007年-2019年(奇数年)漁獲量推移(単位:トン)
⑤北海道隣接サハリン州シロザケ 2007年-2019年(奇数年)漁獲量推移(単位:トン)
⑥2019年ロシア漁業者太平洋サケマス操業漁獲実績(11月15日)単位:トン
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