2020年04月15日
北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[米国Trident Seafoods退社マーケティング管理者がギドロストロイ社へ]
今年2020年3月、米国スケトウダラ漁業大手”Trident Seafoods”社で20年間、主にマーケティング部門を管理してきたTorunn Knoph Halhjemが、択捉島を振り出しにサハリン州水産最大手となった”Гидрострой”(ギドロストロイ)社で活動を開始することが明らかになった。
Torunn Knoph Halhjemはノルウェー生まれの女性で、複数の言語を使い、漁業と水産物販売の双方の実務的経験と知識を合わせ持っている。
Torunn Knoph Halhjemが加わるギドロストロイ社の年間売上高は約346億ルーブル(5億5,560万ドル)で、漁業に加え、陸上水産加工場等を展開している。
ギドロストロイ社創業オーナーで元上院議員のベルホフスキーは、前サハリン州知事(現沿海地方知事)コジェミャコの家族から在沿海地方ナホトカ東方のПреображенская база тралового флота(プレオブラジェンスカヤ・バザ・トラロヴォゴ・フロータ:ПБТФ:PBTF)を、4億3千万ドルで2018年に買い取っている。
PBTFは地域最大の漁業会社の一つであり、この買い取りが完了した時点でギドロストロイは、ロシア水産投資企業グループРусское море(ルスコエモーレ「ロシアの海」)の一部で 漁業最大手Русская рыбопромышленная компания(ルスカヤ・ルイボァプロムシェレンナヤ・カンパニヤ「ロシア漁業会社」)に次いで、ロシアで水棲生物資源の開発量第2位となる。
PBTFは10隻の漁労船と運搬船を運営しており、年間漁獲割当量は約13万トンで、ロシア漁業会社において第7位に位置している。
PBTFの株式は、妻、姉妹、そして息子と総額93%以上をコジェミャコの家族が占めていた。
なお、一部情報は、この買い取りには大統領プーチンと関係が深い、オリガルヒの*1アルカディと*2ボリスのロテンベルグ兄弟が関与しており、最終的に実質的オーナーになる可能性も伝えているが、ロテンベルグ側は、極東の水産業に関与するつもりはないと、現状、これを否定している。
*1 アルカディ・ロテンベルクアルカディ・ロマノヴィチ・ロテンベルク(Аркадий Романович Ротенберг 1951年12月15日 - )は、ロシアの事業家でオリガルヒの一人。弟のボリス・ローテンベルクと一緒にロシアのガスのパイプラインと電力の供給網の巨大な建設企業であるSGM(Стройгазмонтаж)グループの共同経営者。フォーブス誌の2014年度版世界長者番付で621位に名前が挙げられている。ロシア連邦大統領のウラジーミル・プーチンの親しい友人とされる。
*2 ボリス・ロテンベルクボリス・ロマノヴィチ・ロテンベルク(Борис Романович Ротенберг 1957年1月3日 - )は、ロシアの事業家でオリガルヒの一人。兄のアルカディ・ローテンベルクと一緒にロシアのガスのパイプラインと電力の供給網の巨大な建設企業であるSGM (Стройгазмонтаж) グループの共同経営者。サッカー選手のボリス・ボリソヴィチ・ローテンベルクの父。