ブログを始めた2013年から毎年この日になると自分のフランス在住の来し方を振り返り、行く末を想うことが個人的な恒例になっている。
今日でちょうど滞仏丸二十年になる。人生のいわゆる壮年期のほとんどすべてをフランスで過ごしつつあることになる。滞仏最初の四年間を留学生として過ごし、一昨年から大学教員として働くストラスブールの街はとても好きだし、今の職場環境はそう悪くはないけれど、だからといって、フランス社会に馴染み、溶け込んでいるかというと、それには程遠く、社会に対する違和感は常に感じ続けているし、ときに強い怒りを覚え、最近は深い絶望感を抱くことも一再ならずある。
では、日本に帰りたいかというと、そうでもない。いや、と言うよりも、そう簡単に日本でポストが見つかるはずもないから、帰るに帰れないと言ったほうが正直なところだろう。
こんな中途半端な生き方はとても人に誇れるものではない。が、この年では今更やり直しもきかない。与えられた条件を受け入れつつ、研究者として仕事らしい仕事の一つくらいは残したい。
十二月にブリュッセル自由大学で開催されるシンポジウムでの基調講演が研究の当面の里程標になる。この講演で、博士論文以後の研究を集約し、そこからの新しい展望を開くべく、九月に入ってから、一日一日、焦らず怠らず、原稿作成の準備作業を進めているところである。