昨日から読み始めたシモンドンのテキスト « Note complémentaire sur les conséquences de la notion d’individuation » には、技術的対象は「隠された対象に対する操作」(« opération sur un objet caché », p. 512)と定義されている。医者が対象とするのは人間の身体である。医者はその身体の「臓器の内部で実行される不可思議な機能」(« les mystérieuses fonctions qui s’accomplissent à l’intérieur des organes », p. 511 )のことを知っている。それは一般人には隠されていることだ。
テキストの文面からほぼ確実に言えることは、医療行為とは創造的なもので、人間の身体は、その行為の対象であるかぎりにおいて、技術的対象と見なされうるとシモンドンは考えているということである。
L’objet technique ainsi élaboré définit une certaine cristallisation du geste humain créateur, et le perpétue dans l’être (p. 512).
このように(医療行為に代表されるような行為によって)入念に仕上げられた技術的対象は、創造的な人間的行為のある一つの結晶化を定義しており、その行為を存在において永続化する。
この文の意味するところをよく理解するためには、しかし、その前後の文脈を踏まえる必要があるので、明日の記事では、一旦ファゴ=ラルジョの論文を離れ、シモンドンのテキストの当該の箇所を原文を掲げながら読んでいこう。