昨日土曜日のことでもう一つよかったことは、久しぶりによく歩いたことです。これは比喩ではなく、実際にです。
どうしてかというと、朝いつものようにプールで泳いだ後の帰り道、自転車の後輪の異常に気づいたのです。家に帰り着いてよく見てみると、タイヤの一部がまるで瘤ができたように盛り上がっているではないですか。それが原因で、平滑な路面を走っているのに、まるで凸凹の路上を走っているかような震動があったというわけです。
まず自分でタイヤの空気を抜いて、タイヤをフレームから外して、内側やチューブに異常がないか見てみました。異物は混入していないし、パンクでもない。よくわからないので、自転車屋に持っていくことにしました。
自宅は緑豊かな郊外にあって、その環境はとても気に入っているのですが、何んであれお店に行かなければならないとなると、かなり不便なところにあります。信頼できる自転車屋さんの中で最も近い店まで片道徒歩25分かかるのです。
行きはガタガタ震動を尻に受けながらも乗っていきました。自転車屋さんで「どうしてこんな瘤ができるんですか」って聞いたら、「まあ、こりゃあ、タイヤの品質の問題だね」と、バッサリ。タイヤ・チューブ全取っ替えしてもらうことにしました。
それで自転車をあずけて徒歩で自宅まで戻ったというわけです。急ぐ必要もないし、普段自転車ですっ飛ばしているコースをゆっくり歩きました。そうしたら見えてくるものが普段と違うんですね。当り前といえば当り前ですが、路上・路傍・川向うの風景の細かいところまで目が行くわけです。
自宅で一仕事してから、今度は自転車を取りにまた徒歩で同じ道を歩いていきました。そうしたら、途中で、自転車に乗った小学校二三年くらいの女の子二人が近づいてきて、「あのぉ、ちょっとお聞きしたいことがあるんですけど」と丁寧な言葉で話しかけてくるのです。話を聞くと、なんでも自分たちがたくさん集めたキャラクターのカードがもういらなくなったんだけど、捨てるのはいやなので、もし私の家に小さな子どもがいるのなら、これをあげたいのだけれど、と言って、見たところ数十枚をひとまとめにした二束のカードをポケットから出して私に見せるのです。「ああ、残念ながらうちに小さい子はいないなあ。でもこの近くのプールには今たくさんの子どもたちが来ているから、彼らにあげたらどうだろう」と言って別れました。
こんな思いもよらないことも、自転車で走っていたら起こらなかったでしょう。普段、通勤や買い物の足として欠かせない自転車ですが、たまには歩いてみるのもいいものですね。同じ街を新たに発見し直したような気持ちになりました。