内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

文献の森を逍遥して、脳に清浄な空気を送り込む、そして「それでいいのだぁ」

2018-06-23 21:55:54 | 雑感

 昨日は時間割作成に明け暮れた一日でしたが、今日は、一転して、能楽についての日本語の講演原稿を読んでおりました。これは能楽をご専門とされる先生が明後日月曜日になさるご講演の原稿で、その日の通訳を私が務めさせていただくので予め送っていただいたのです。
 先生のご文章そのものはとても明晰に書かれているので、訳者としてはありがたいかぎりなのですが、予想される聴衆の大半には能楽及び日本の古典文芸についての知識を期待することができないので、必要に応じてその場で臨機応変に加えるべき補注的説明を準備するために、能楽関係の仏語文献を机上に積み上げて、いわば通訳者用の控え帖のようなものを今日は作成しておりました。
 こういう作業は楽しいのであります。私自身がテーマそのものに強い関心をもっていますので、原稿を読むこと自体がいい勉強になります。それに付随して関連文献を渉猟することは、ちょうど初夏の晴天の下、森の中を散策することが健康にいいように、日々の雑用に疲れ気味の脳に清涼な空気を送り込みリフレッシュさせるような効果があります。
 それにですね、この作業の準備として仏語で書かれた能楽関係の書籍を幾冊か購入したのですが、そのプロセスがちょうど脳神経組織の形成はかくやと思わされるような展開で、その展開そのものに少しワクワクしてしまいました。そのせいで今月はちょっと書籍代がかさみました。でも、こういう出費に関しては、一言、「それでいいのだぁ」って感じです。