昨夜は、これから花咲くひまわりとちょっとおしゃれなレストランで食事をしました。
その笑顔が初夏の陽光の下に輝くひまわりように素敵な彼女は、今、これから自分が進むべき道に悩んでいます。どっちに向かって進もうとしても、たちどころに障害が立ちはだかります。泣き叫びたい心境なのです。いや、実際、ここ二週間、彼女は何度も涙をこぼしているのです。
「どうすればいいのでしょう」と訊かれても、筋金入りの木偶の坊の私に妙案などあるはずもありません。「自分がもっとも大切にしたいことを最優先し、この一年はその他のあらゆる可能性も探りつつ、次のチャンスを待つのがいいのでは」という、毒にも薬にもならない御託を並べるくらいしか能がありません。
それでも、彼女が「もっている」人であることを老生は確信しています。自分のことはよくわからないまま、あれよあれよという間に老いの急坂を転げ落ちつつある私ですが、不思議なことに、「あっ、この人は必ず何か大切なことをつかめる。だから大丈夫」と思える人と、一生懸命頑張っていることは認めるけれど、そっちに行くと「ちょっと難しいのかな」と思える人との区別はかなり的確にできるのです。それはその人たちのその後が証明しています。
レストランで会話を存分楽しんだ後、自宅前まで送り、別れ際、満面の笑顔で手を振りながら歩道を渡っていくひまわりに背を向け、心のなかで Bon courage ! Bonne chance ! と呟きながらとぼとぼと帰路につきました。