昨日朝、出発予定時刻から1時間ほど遅れて10時40分に離陸。今朝、6時8分に羽田着陸。途中乱気流通過中に何度かかなり揺れた以外はほぼ順調な航路だった。満席。日本人とその他の国の人たちと半々くらいだったろうか。日本人のなかにはマスクをしている人が少なくなかったが(私はしなかった)、その他の人たちでマスクをしていた人はごく少数だった。見たところ、観光目的の人が大半、高校生らしき30名ほどの団体が目立ったが、何かの研修旅行だろうか。
航路は、昨年同様ロシア上空を避け、ヨーロッパ大陸のやや南方、ドイツ、オーストリア、ハンガリー、ルーマニアと通過し、黒海のほぼ中央を横断して、ジョージア、アゼルバイジャン上空を通過、カスピ海を横断し、トルクメニスタン、ウズベキスタン、タジキスタン上空を経て、中国に入る。中国通過中はちょうど真夜中で、僅かな街の灯り以外は何も見えなかったのは残念。
今回の航路でもっとも深く印象に残ったのは、夏の日差しに照らされた黒海の群青の穏やかで広大な海面とその南方沿岸に続く美しいエメラルドグリーンの海岸線だった。私の右翼側の座席からは見えなかった黒海北側に面したウクライナの港湾都市オデッサから飛行機が通過した航路までの最短距離は400キロもなかった。サポリージャまで500キロ余り。幾多の犠牲を重ねるばかりでいつ終わるとも知れない戦争が続いている国からそんなにも近いところを「平和に」何ごともないかのように通過していくことにどうしようもなく苦しい思いが込み上げてきて、自分がそのなかにいる「こちら」のほうが非現実的であるかのような異様な感覚にとらわれた。
コロナ禍がまだ過去のものになってはいないとはいえ、昨年夏に比べればより平和で穏やかに見える日本に一年ぶりに帰ってきて、懐かしく安堵するとともに、まだ地に足がちゃんとついていないような心もとなさを覚える。