昨日の午後、小雨の降る高山を出て名古屋に向かった。
途中のせせらぎ街道は紅葉が進み、カラマツはすっかり金色に変わり、盛んに葉を落としていた。
西ウレ峠の紅葉は終わったと思っていたが、緑の杉と真っ赤なモミジやドウダン、金色のカラマツが池面に映えてきれいだった。
今日は学生時代の仲間と、名古屋の老舗料亭「河文」で食事をしてきた。
寛永年間創業の尾張徳川家御用達であった店は、ちょっと敷居の高いところであった。
企業の接待やお座敷遊びをする旦那衆も少なくなり、昨年の経営譲渡を機に営業形態が変わり、比較的入り易い店になっていた。
純和風の建築だが、玄関を上がり廊下や階段を歩く時も靴のままでよかった。
さすがに座敷だけは靴を脱ぐが、席はテーブルと椅子が用意されている。
ホテルで和食を食べるときは何の違和感もないが、重要文化財の料亭を靴のまま歩くことに多少の戸惑いはあった。
かつて進駐軍が旅館や別荘を改造して、畳にじゅうたんを敷き大黒柱や屋久杉の天井にペンキを塗って、土足で家の中を歩いたことに日本人は驚いたという。
新しい経営者は、これまで閉ざされた料亭を若い人にも楽しんでもらい、椅子席を設けることで足の不自由なお年寄りも楽しめる空間にして、時代に合った料亭のスタイルを築きたいとのことだ。
昼の小懐石を食べたが、吟味された素材を使った料理は、量も手ごろでおいしかった。
400年の歴史を持つ料亭が、時代の波に晒されながら変貌を遂げていく。