旅倶楽部「こま通信」日記

これまで3500日以上世界を旅してきた小松が、より実り多い旅の実現と豊かな日常の為に主催する旅行クラブです。

アテネ~考古学博物館

2020-05-06 08:29:20 | ギリシャ
2002,2007,2011ギリシャの旅より
首都の国立博物館にはその国の至宝が集められている

静的な像が多いギリシャ彫刻にあって、この躍動感はずばぬけている。
紀元前二世紀のブロンズ像★跳躍する馬とそれを御する黒人少年

古代ギリシャのブロンズ彫刻は石の彫刻に比べはるかに数がすくない。
後世に溶かされて大砲やなんぞに再利用されてしまうので、海に沈んででもいないとなかなか現代まで残らないのである。これもアルテミシオン岬近くの難破船から発見された。


★ポセイドン(またはゼウス)も同じ難破船から発見された

ポセイドンだった場合手には三つ又槍、
ゼウスだったとすれば雷をもっていたのだろう。

目にはめこまれていた石は失われている


★ローマ初代皇帝アウグストゥス
これもエウボイア島(アテネの北)の海中から発見された

左手は手綱を握り、指には最高神儀官をあらわす指輪をしている。
アウグストゥスが最高神儀官に就任したのは紀元前12年なのでこのころの姿をあらわした作品と考えられている。

★アンティキティラの廃船から見つかった青年像

紀元前四世紀ごろのもので、アフロディテにリンゴを渡そうとしているパリスかと推察されている。
右手にはリンゴを持っていたということ。※トロイ戦争発端となる場面ですね
前の二作品と違い、目が失われていない。さらにリアルさにひきこまれる。欧米人の青い目を上手に再現している。


★マラトンのエフェベ(少年)は、1925年にマラトン湾から発見された

紀元前四世紀後半、競技会で優勝した姿と想定される。
研究者はプラクシテレス派のものとする。
プラクシテレスはアスリートを表現する時も筋肉むきむきの表現はせず、しなやかな美しさを基調としている。

※プラクシテレスは古代ギリシャ世界で最高の彫刻職人。
紀元前350年ごろ、「クニドスのヴィーナス」として全裸の女性像を人類史上はじめて製作して物議をかもした。
※こちらにプラクシテレスについてもう少し書きました

★リケイオンのアポロもオリジナルはプラクシテレスの作といわれている

右手を頭の上にあげた特徴的なポーズは運動した後に「やれやれ」と休憩している。
アテネのギリシャ人のアゴラから発見された。
運動をするためのギムナジウムに置かれていたと考えらている。
↑左からブロンズ、大理石、右の象牙製のものは二百もの断片から復元された

古代ギリシャのブロンズ彫刻の魅力をひしひしと感じさせてくれる
**


石の作品群も見所は多い
★キクラデス諸島の彫刻

モディリアーニそっくりじゃないですか!
いや、モディリアーニやピカソがこういう時代の彫刻に影響を受けていたのですね

★アルカイック期の御者像 紀元前550年頃

この作品、身体はホンモノだが、顔の部分はレプリカ
顏の部分のホンモノはルーブル美術館が所蔵している↓下がルーブルでの展示

どうしてこんなことになってしまったのか?

頭部は1877年にアクロポリスで発掘された。
当時の発掘は宝探しと同じようなもので、発掘者の多くが金目当てで売りに出す。
ジョルジュ・ランパンというフランス人が買い取り1896年にルーブルに寄付した。

頭の失われた身体と馬の破片群は1886年にアクロポリスの側溝で発見される。
紀元前480年にペルシャ軍がアテネを占領しパルテノン神殿を破壊した際、神殿に飾られていた騎馬像も破壊され捨てられていたのだと推察された。

これら別々の発見が同じ像だと推察されたのは半世紀以上がすぎた1936年になってから。
英国人のHumphry Payneという学者による。
このタイミングで頭部、身体それぞれのコピーが製作されてルーブル、アテネ考古学博物館それぞれの像に接着された。

しかし、この接着にも疑問が呈される。
微妙に首の長さなどに違和感がある、かも。
提示された仮説は、もともと騎馬像は二体が並列しておかれており(顔が少し斜めを向いているのがその証拠だとされる)、頭部と身体は別々の像のものだというのである。

★ミケーネの戦士が行進する壺

戦士は何を担いでいるのか?
クノッソスのフレスコ画から解明された↓

↑上のフレスコ画、右は牛柄の八の字型楯が壁にかけられている光景!
ギリシャ戦士が持っている楯は映画に出てくるような丸い金属だと思い込んでいる現代人の我々だが、
紀元前14世紀ごろのミケーネやクレタでは巨大な八の字型を使っていたというのだ。
それは牛の皮を表面に張った木製で、真ん中で折って肩の前後にかけて持ち運んでいたという。
クノッソス宮殿を発掘したエヴァンスの説得力ある仮説。

★サントリーニ島のフレスコ画

↑左側が有名なボクシングをする少年の図
アテネの考古学博物館のフレスコ画セクションは長く締まっていたが、何度も訪れていた時期に一二度だけ見学することができた。

アテネ考古学博物館で有名なものはミケーネの黄金の品



一度行けば満足というのではまったくなく、
行けばいくほど、また行きたくなる場所です(^^)












コメント
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