旅倶楽部「こま通信」日記

これまで3500日以上世界を旅してきた小松が、より実り多い旅の実現と豊かな日常の為に主催する旅行クラブです。

アグラ城

2020-05-12 19:51:52 | インド
2005年《手造の旅》インドより
タージ・マハルからヤムナー川沿いを一キロほど行ったところにかつての王城がある。

デリーの城と同じく真っ赤な石なので同じくレッド・フォートと呼ばれることもある。

当時の入場料は外国人が5US$、インド人は20ルピー(当時は1ルピーが3円弱だった)。
約二十倍か。こういう入場料で国の発展レベルが測れるように思う。
※調べてみると十五年後の2020年現在は約十倍に「縮まって」いた。これはインドが発展したということなのかしらん?

アグラは古代からの要衝でいくつもの王朝がこの地を首都としてきた。
だが、ムガール帝国としては第三代のアクバルが16世紀にこのアグラ城の建設をはじめ、タージマハルを建設した孫のシャー・ジャハンの息子アウラングゼーブが旧都デリーに戻すまで約百年間だけの首都である。

ヨーロッパの城と違って高い建物よりも広い庭の方が印象的

居住空間として快適にしようとしている。

↑中庭に置かれていた巨大な石は何?
ふちのところに文字が刻まれた楕円形が見える。
そこにはペルシャ語でJAHANGIR's HAUZ【ジャハンギル帝のバスタブ】1610(西暦に換算)と刻まれていた。
ジャハンギル帝はアグラを帝国の首都にして城の建設をはじめたアクバル帝の息子。
高さ1.5m、直径2.4mのバスタブだったのか。
↑そういえば浴槽内に入る時に使う階段が側面に削りだされているのが見える↑
バスタブなら宮殿の中の浴場に作ればよいと思うけれど、これはジャハンギルが遠征する時に使っていたモノ。
こんなものを持って戦争にさえ行っていたらしい。
※1843に再発見され、デリー城(レッド・フォート)に1862まで置かれていたものを、イギリス人考古学者のジョン・マーシャル(モヘンジョダロの発掘などで有名)が、もともとあっただろうこのアグラ城にもどしたと解説版に書かれていた。


ムガール帝がイギリスの影響をうけはじめる以前の建築は西洋建築にはない美しさをもっている

イスラム教徒なので人物の表現はみられないが、幾何学的なデザインは現代の目で見ても古くなっていない。

↓こういう壁の飾り棚にはどんなモノが置かれていたのだろう。
今はイギリスのどこかにあったりするのかしらん。


ヤムナー川を見晴らす場所にテラスがある

★タージマハルを建設したシャージャハン帝が息子アウラングゼーブに幽閉された場所。

ムムターズ妃はシャージャハン帝との間に十四人の子供たちをもったが三十六歳のお産の後に没した。
四人いた息子たちの殺し合いを見ずにすんだことは幸いだったかもしれない。

兄弟の殺し合いは三男のアウラングゼーブが制し、「自分を愛してくれなかった」父をここに幽閉した。
父のお気に入りだった兄を処刑し、その首を送りつけた。
豪華な品々を没収し、生活を困窮させ、七年もの間いじめ続けた。

建物が美しく装飾されているゆえにその悲哀は深くなる。
↑この部分には象嵌された貴石が盗まれずに残っていた
テラスから妃ムムターズ(アウラングゼーブの母)の廟タージマハルが見える。
シャージャハンは対岸に自身のための黒いタージマハルを建設するつもりだったが幻となった。

第六代皇帝となったアウラングゼーブはデリーに遷都してアグラを去る。
妹たちの嘆願によって、父の死の直前に和解の手紙を送ったとされている。
※アウラングゼーブの肖像画をページの最後にのせました

アグラ城は19世紀に砲撃をうけた跡ものこされている↓

通称「セポイの乱」の際、副総督だったジョン・ラッセル鄕は陥落の直前にコレラで死去。
伝染病の遺体を故国に移送することはできず、この中庭に墓がある↓



**
「タージマハルがきれいにみえるカフェがあるのです」
とガイドさんが勧めてくれたので、人力車に分乗した

あ、こんな場所もあるのですね

***
アグラのホテルに行く途中、「タージ・マハル」という映画のポスターを見かけた↓

前述のシャージャハン帝とその息子たちの話を知っていれば、物語は想像がつく。
↑いちばん左が父のシャージャハン。
真ん中の特徴的な冠をかぶって顎髭まで生やしているのが三男のアウラングゼーブに違いない。
(ネット辞典Wikiから引用)後世に伝わる彼のポートレート絵画↓

どの国にも時代劇ドラマがあり、そこには外国人には説明しにくいややこしい物語がある。
ちょうど今年2020年の大河ドラマに登場する斉藤道三とその息子高政の話のように。


コメント
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