旅倶楽部「こま通信」日記

これまで3500日以上世界を旅してきた小松が、より実り多い旅の実現と豊かな日常の為に主催する旅行クラブです。

ハワマハル(風の宮殿)

2020-05-15 22:10:12 | インド
2005年《手造の旅》インドより
個人的にはインドでいちばん好きな建築

「似たような建築」というのが他にみあたらない、独自のデザイン感覚が貫かれている。
十五メートル程の高さで五階建てだが上層部になると厚みがほとんどない。
裏へまわって「シティ・パレス」側から中へ入っていこう。

↓裏からみたところ。この向こう側に、先ほど道路側から見た屏風のようなピンク色の建物がある。

↓冒頭の建物の上部だけを裏側からクローズアップ

上の二階部分は、ほとんど人ひとりが歩けるかどうかの厚みしかないのがわかる。
何故こんな建物が建てられたのか?

ここは外に出ることが許されない女性たちが街の様子を見るための場所としてつくられた。
ジャイプールの「シティ・パレス」とは、当時のアンベール王国のマハ(大きな)ラジャ(王)の住居だった。
★アンベール王国は12世紀ごろからの国だがムガール帝国が強力な時期にはその朝貢国になり、19世紀にはイギリスの支配下にある藩国として1947年に現代インドに参加するまで独立を保っていた。
後宮には多くの女性たちが住んでいたが外へ出ることが許されない。
彼女たちが外からその姿を見られることなく、街を見ることが出来る場所としてハワ・マハールは1799年に建設された。

当時は絨毯でも敷かれてそこに座って見下ろしていたのだろう。
窓が低い位置にあるのはそのため。

街の様子はこんなふうに見えるのか


暑い国では、いかに涼しく快適な空間を出現させるかが常に求められる。
ここは風が吹き抜ける、女性たちが快適に過ごせる空間だったにちがいない。

少し離れて横から見ると構造がよくわかる。

そして、周辺の道路沿いの建物が同じデザインスタイルで統一されているのもすばらしい。

現在の大都市でもそうだが、建築物ひとつが素晴らしいという例はよくある。
総合的に統一されたパリのような美しさを出現させるには、マハラジャのような強力な支配者が必要になる。

現代民主主義国家でどこまで可能なことなのかと思ってしまう。

コメント
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