雪は少しだけ
降って
やんだ
雪は
ふたたび
少しだけ
降って
初雪
もっと降ればいいのに
と
思ったのは
わたしだけじゃない
みんな
冬のすることを
待っている
積もったり
交通機関が乱れたり
そんなことを
わずかな粉雪でも
期待し
想像する
何故って
雪が白いからだ
やわらかいからだ
空から降ってくるからだ
景色を真っ白にして
街を静かにするからだ
冷たい石に座って
わたしたち
暮れのグレイの空の下で
お尻が冷たくなって
立ちあがって
歩き出す
今年最後の労働日に
雪が降るなんて
やあ素敵
ねじ釘を口にくわえた
大工さん
やはり言うのだ
「雪か」
わたしたち
大通りを渡って
夕飯を食べ
ワインを買って
灯り道を歩き
夜が更けるまで
話して
彼は
酔っぱらって
座ったまま
眠りはじめた
階下から
いびきが聞こえる
彼の故郷の
おとうさんは
彼のいびきが
聞こえるだろうか
いや
遠くはなれた空の下
彼のおとうさんも
今頃
とうに眠っているだろう
不肖な息子の
いびきは
彼の体で
ゴウゴウ鳴って
子供の時
奄美の海を
何キロも
泳いだあと
彼は広い畳の上で眠った
その夜にも鳴っただろう
小さな寝息
その寝息を
彼のおとうさんは
聞いただろうか
今は
寝息ではなく
この世に
もの申す如くの
憤怒の呼吸
ゴウ
ゴウ
と鳴っている
降って
やんだ
雪は
ふたたび
少しだけ
降って
初雪
もっと降ればいいのに
と
思ったのは
わたしだけじゃない
みんな
冬のすることを
待っている
積もったり
交通機関が乱れたり
そんなことを
わずかな粉雪でも
期待し
想像する
何故って
雪が白いからだ
やわらかいからだ
空から降ってくるからだ
景色を真っ白にして
街を静かにするからだ
冷たい石に座って
わたしたち
暮れのグレイの空の下で
お尻が冷たくなって
立ちあがって
歩き出す
今年最後の労働日に
雪が降るなんて
やあ素敵
ねじ釘を口にくわえた
大工さん
やはり言うのだ
「雪か」
わたしたち
大通りを渡って
夕飯を食べ
ワインを買って
灯り道を歩き
夜が更けるまで
話して
彼は
酔っぱらって
座ったまま
眠りはじめた
階下から
いびきが聞こえる
彼の故郷の
おとうさんは
彼のいびきが
聞こえるだろうか
いや
遠くはなれた空の下
彼のおとうさんも
今頃
とうに眠っているだろう
不肖な息子の
いびきは
彼の体で
ゴウゴウ鳴って
子供の時
奄美の海を
何キロも
泳いだあと
彼は広い畳の上で眠った
その夜にも鳴っただろう
小さな寝息
その寝息を
彼のおとうさんは
聞いただろうか
今は
寝息ではなく
この世に
もの申す如くの
憤怒の呼吸
ゴウ
ゴウ
と鳴っている