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くもり
寒し
パンチさんの寂しさ
昨日
おじいさんが
おばあさんに
マスクをかけてあげていた
青い服の人は
空のようにきれいに笑った
今日は
車椅子の人を押した
何事か
くだらないことを話し
天気だとか
どうでもいいこと
けれど
どうでもいいことが
大事だと知っている
ありがとうございます
と言われた
いえいえこちらこそ
と答えた
みぞれ
来る
うどん屋に
昼食は駆け込む
いつも
昼食時間は遅いので
お客さんが満員ということはなく
逆に助かる
たくさん食べて
体をあたためて
いつも100パーセント
食後
椅子に座ったまま
眠る
いびきをかいているかもしれない
それを誰かが聞いているのかもしれない
恥ずかしいのかもしれない
スマホのタイマーで
目が覚める
あかぎれで痛い足で
ゆっくり立ち
「ありがとうございました」
とすでに
「いつも寝てる人」というなじみになっているのだろう
外はみぞれ
自転車で
労働場まで戻る
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目を開けているのか
いないのか
その人は
横になっていた
三十年の月日が経って
横になっていた
茶の色は
今や
誰もがしていて
時はいろんな物や価値を
変えてゆく
何も言わず
変えてゆく
空に向かって
号砲が鳴り
わたしは
その響きと
余韻を楽しんで
眠り入る
号砲は
始まり
号砲は
終わり
の合図
すべて
始まり
終わり
また始まり
終わりの
繰り返し
トマトを食べる