農作物を食い荒らすイノシシなどの鳥獣捕獲数を猟師が水増しし、国の交付金をだまし取る不正が相次いだため、農林水産省は来年4月から運用を厳しくする。
支給の窓ロとなる自治体でばらつきのあった獲物の証明方法を統一し、書類申請の場合には尻尾の提出を義務付けるのが柱だ。
農作物の被害を減らそうと、国は2013年度から鳥獣駆除への交付金を始めた。
イノシシやシカ、クマだと1頭当たり最大8千円を出し、これを元手に市町村が猟師へ報酬を支払う。
独自に単価を上乗せする所もある。
支給申請は市町村などの職員による現地確認がなくても認められ、約8割の自治体が写真や個体の一部といった証拠品で確認していたが、尻尾や耳などの提出部位や撮影ルールはまちまち。
鹿児島県霧島市では1頭のイノシシを違う角度から撮る偽装が横行し、兵庫県佐用町でも確認の緩さを突く不正が発覚した。
そこで、現地確認を省略して証拠品で申請する際は、写真と尻尾をそろえて提出することを義務化。
写真は頭を右向きにし、スプレーで体に日付などを入れて振るよう統一する。
一方、現地確認の場合は尻尾を着色するか回収し、別の獲物の証拠品に見せ掛ける「使い回し」を封じる。
農作物の鳥獣被害は2015年度で176億円に上る。
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