遺族補償年金の受給で夫に年齢制限があるのは法の下の平等に反し違憲だと、教諭の妻を公務災害で亡くした堺市の元会社員が起こした訴訟の判決で、大阪地裁は11月25日、「不合理な差別的扱いで違憲、無効」として、地方公務員災害補償基金の不支給決定を取り消した。
中垣内裁判長は「共働きが一般的になり、男性の非正規雇用者が増加している。 性別で分ける合理性はない」と判断した。
同様の制限は民間が対象の労災保険や遺族厚生年金にもあり、議論を呼びそうだ。
原告側によると遺族補償年金受給の男女差をめぐる判決は初。
地方公務員災害補償法(1967年制定)は、公務災害で夫が死亡した場合、妻には年齢を問わず受給を認め一方、妻を失った夫は「60歳以上」(1990年以降は特例で55歳以上)と規定している。
判決は「制定当時は正社員の夫と専業主婦の世帯が一般的で、夫が死亡時に妻が就労しにくいなどの実態から一定の合理性があった」とした。
ただその後、性別による役割分担の意識が希薄になり、女性の社会進出が増加。
1990年代には共働き世帯が専業主婦の世帯を上回ったほか、日本型雇用慣行が変化し男性の非正規雇用も増えていると指摘。
2010年には、母子家庭のみが対象だった児童扶養手当が父子家庭にも支給される法改正があったことにも言及し、規定は合理性が失われたと結論付けた。
判決によると、公立中学校教諭だった妻はうつ病を発症し、1998年に51歳で自殺。
公務災害と認定された後の2010年、夫は補償年金を請求したが、妻の死亡時には51歳だったため、地方公務員災害補償基金大阪府支部は2011年に不支給とした。
基金側は「現在も男女間の賃金格差は大きく、規定には合理性がある」と主張していた。
明らかに現在の社会状況にはそぐわないことが続けられてきており、遺族年金全体を早急に改善すべきである。
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