65歳以降も引き続き働く人が増え、「働いているうちはまだ年金は必要ない」と考える人もいるだろう。
そのため、繰り下げのために待機している人も多くなりつつある。
しかし、繰下げ受給の手続きをしないまま、つまり、繰下げ待機している状態のまま亡くなってしまうこともある。
その場合、亡くなった本人の年金はどうなるかというと、亡くなった人の遺族に「未支給年金」として支給される。
その未支給年金を請求できる遺族とは、死亡当時、亡くなった人と生計を同じくしていた、(1)配偶者、(2)子、(3)父母、(4)孫、(5)祖父母、(6)兄弟姉妹、(7)その他の3親等以内の親族だ。
その遺族の優先順位については、(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)の順となる。
繰下げ受給の手続きは、本人にしかできない。
そのため、未支給年金については、繰下げ増額のない額(65歳開始の額)が遺族に支給される。
もし、68歳のときに亡くなった場合、65歳から68歳までの3年分が未支給年金だ。
本人が受け取る場合の年金は、原則2ヶ月に1回、偶数月に支給されるが、未支給年金の場合は一括で支払われる。
亡くなった人が65歳以降、厚生年金被保険者であった場合は、在職老齢年金制度による支給停止となる部分以外の額が、未支給年金として計算され支給される。
所得税法上、本人が老齢基礎年金・老齢厚生年金を受給すると雑所得の対象となるが、未支給年金となる場合は、一時所得の対象となる。
未支給年金は遺族が自分の名で請求することになり、相続および相続税の対象ではない。
年金の時効は5年となっているので、未支給年金として支給されるのは5年の時効が過ぎていない分ということになる。
繰り下げ自体は75歳まで可能となったが、65歳から5年を過ぎての、つまり、70歳を過ぎての繰下げ待機中に亡くなって、未支給年金が発生する場合は、時効消滅分が発生する。
以上のように、本人が受給する権利のある老齢年金を受け取らないまま亡くなった場合、その遺族は、未支給年金の手続きを早めに忘れずに行う必要がある。
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