がん患者の42%が亡くなる前の1ヵ月間に痛みや吐き気、呼吸困難などの苦痛を抱えていることが、国立がん研究センターが12月25日発表した初の終末期医療に関する全国調査で分かった。
介護した家族自身にうつ症状が出る例も17%に上った。
痛みを完全に取り除くのは難しいが、苦痛を和らげる緩和ケアに関する教育や患者・家族とのコミュニケーションを充実させることで改善できるとしており、対策強化が求められそうだ。
厚生労働省の委託を受け、今年2月から3月にかけて、全国のがん患者の遺族を対象に患者の療養生活や苦痛に関する状況を調べた。
1630人から回答を得た。
最期の1ヵ月を穏やかな気持ちで過ごせた人は53%だった。
亡くなる1週間前の時点では、27%が強い痛みを感じていた。
介護した家族自身の負担感が大きかったとの回答は42%に上った。
死別後にうつ症状が現れた人の割合は、一般の有症率よりも高く、家族のケアに関する課題も浮上した。
医療全般に関する満足度は、ホスピスや緩和ケア棟が82%と最も高く、自宅は79%、病院は67%だった。
痛みが少なく過ごせたとする患者にも同様の傾向かあった。
「もともと痛みが強く症状が重い人ほど病院に行くことが多いためではないか」と理由を説明している。
高齢化が進む中、がん研究センターは終末期医療や緩和ケアの質を向上させることを目的に調査を実施。
来年は心疾患、肺炎、脳血管疾患、腎不全を含めた約5万人の遺族を対象に都道府県別の実態をより本格的に調べる方針。
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