診断が困難な小児がん患者に最適な治療法を見つけるため、全ての遺伝情報(ゲノム)を網羅的に調べる「全ゲノム解析」を行い、精度の高い診断や有効な治療につなげる東大病院などのチームの研究が、全国約20の医療機関で11月中に始まる。
来年3月までに患者100人に協力依頼し、有効性を検証する予定。
小児がんは年間2千人から2500人が新たに診断される。
希少がんや血液がんが多く、種類が多様なため正確な診断や治療選択が難しいことがある。
研究は東大病院のほか、京大病院など小児がんを重点的に診療する病院が参加。
病院で採取したがん組織や血液などの検体を国立成育医療研究センターに集め、品質確認した後、民間の検査会社が全ゲノム解析する。
解析結果を基に国立がん研究センターでデータを分析。
小児がんやゲノムの専門家らで構成する会議で診断や有効な治療について協議し、結果を主治医から患者家族に説明するという仕組みだ。
研究責任者の加藤・東大教授は「小児がんはゲノム変異が成人よりも少なく、その分診断に直結する。 治療の方向性や強さを決めるのにも役立つ。 将来的には幅広く患者が全ゲノム解析を受けられるようにしい」と話している。
国は2019年、がんや難病患者のゲノム全体を調べ、新たな診断法や治療法の開発、創薬につなげる「全ゲノム解析等実行計画」を策定。
小児がんでは2022年度、東大病院と国立成育医療研究センターで先行実施していた。
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