厚生労働省は12月5日、脳死や心停止後の移植臓器をあっせんする日本臓器移植ネットワークの業務を分割し、あっせん機関を複数化することなどを柱とした移植医療体制の改革案をまとめた。
移植ネットや一部の移植実施病院に集中していた業務の負担を軽減し、移植件数の増加につなげる狙い。
今後、具体的な作業を進める。
同日の有識者委員会で了承された。
あっせん機関の大幅な見直しは、移植ネットが1997年に発足して以来初めて。
移植ネットは心臓や肺などをあっせんする国内唯一の機関として、提供者(ドナー)となる可能性がある患者の家族への情報提供や同意取得、移植を受ける患者の選定、臓器搬送の調整など一連の業務を担ってきた。
しかし、近年の提供数の増加に伴い業務が多忙化し、人員不足による対応の遅れが指摘されていた。
移植ネットによると、2023年の脳死での提供数は過去最多の131件だった。
改革案では、地域ごとに新たな法人を設置し、ドナー家族への説明など、ドナー側の業務を移植ネットから移行。
新法人は提供施設にいる「院内コーディネーター」とも連携し、同意書の作成などを行う。
移頓ネットは移植を受ける患者の選定や臓器搬送の調整などの業務に専念する。
現在、移植を受ける病院は腎臓を除き1カ所しか登録できないが、他の臓器でも第2希望まで登録できるようにし、病院側の事情で手術ができないケースを減らす。
本年度中にシステムを整備する。
登録の判断材料として、病院ごとの移植実施数や待機患者数も公表する。
移植後の生存率といった成績の公表は、関連学会で検討を進めるとした。
臓器提供の経験が豊富な拠点病院を拡充し、経験が浅い病院に人材を派遣するなど支援する仕組みも整える。
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