冬眠中のツキノワグマの血清が、高齢者たちの筋力維持に役立つかもしれない。
広島大大学院の宮崎准教授は、冬眠期のクマの血清がヒトの筋肉細胞量を増やす、との研究成果を米オンライン科学誌に発表した。
長期間、冬眠しても筋肉量がほとんど減らないクマに着想を得て研究を続ける中で確認した。
シャーレに入れたヒトの骨格筋の培養細胞に、活動期と冬眠期のクマの血清を振りかけ、筋肉量の目安となる総タンパク質の含有量を比較した。
そうすると冬眠期のクマの血清をかけた細胞は総タンパク質の量が増加することが分かった。
活動期のクマの血清や、冬眠しないウマの血清をかけた細胞と比較すると約20%多かった。
宮崎准教授は、ヒトの筋肉は使わないと短期間で衰えるのに対して、ツキノワグマは半年ほど餌を食べずに冬眠した後も、すぐに動き回れる機能を維持していることに注目してきた。
実験では、筋力トレーニングをしたときのような細胞の変化が見られたことから「クマの血液の中には、筋肉の分解を抑え込む何らかの因子がある」とみている。
将来的には、使わなくても衰えない筋肉の仕組みを突き止め、ヒトの健康維持に生かしたい考え。
宮崎准教授は「高齢者たちの寝たきり防止や、病気などからの効果的なリハビリ方法の開発につなげたい」と意気込んでいる。
研究は1月下旬、米オンライン科学誌プロスワンに掲載された。
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