ため池や用水路など農業用水利施設の豪雨対策を迅速化するための改正土地改良法が3月30日、参院本会議で可決、成立した。
農家や土地所有者の同意、費用の負担なしに国や自治体が施設を改修できるようにする。
ため池決壊の被害が広島県などで相次いだ2018年の西日本豪雨を教訓に、農業や周辺住民への被害を抑えるのが狙い。
4月1日に施行。
国や自治体が豪雨によるため池決壊で民家などに被害を及ぼす危険があると判断すれば、所有者らの同意や計画申請などの手続きが不要となり、速やかな着手が可能になる。
現行法では、同意や費用負担なしで施設を改修できるのは地震対策だけだった。
農林水産省によると、2020年度までの10年間で、自然災害によるため池被害の約8割は豪雨が原因。
西日本豪雨では6府県で32力所のため池が決壊し、広島県は23ヵ所に上った。
福山市駅家町では当時3歳の女児が土石流に巻き込まれて亡くなった。
農水省は、防災工事や廃止などの対応が必要なため池が全国に1万あると見積もる。
既に同意を不要にした地震対策では、手続きにかかる期間が平均6・8ヵ月から2・4ヵ月に短くなったという。
工事で農家や所有者に不利益が生じる場合は対象から外す。
改正法には、農地の賃貸を仲介する農地中間管理機構(農地バンク)が借り受けた土地の水利施設整備についても、事業者の同意や負担を不要とすることを盛り込んだ。
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