中国が日本の排他的経済水域(EEZ)内である沖縄県・尖閣諸島の北西約80キロに設置したブイに関し、EEZ外に移動させる意向を水面下で日本側に伝えてきたことが11月23日、分かった。
複数の日中関係筋が明らかにした。
日本との関係を安定させる狙いとみられるが、実際にはブイを移動しておらず、日本は即時撤去を求めている。
ブイは昨年7月に日本側が確認し、何度も撤去を求めてきた。
中国が移動させる意向を伝えてきたのは、トランプ次斯米大統領の就任で対立必至の米中外交に注力するため、日本との間に山積する課題を個別に解決して関係改善を図る思惑がありそうだ。
今年8月に発生した中国軍機の領空侵犯については11月19日、中国が事実関係を認め、再発防止に努めると伝えてきたと日本政府が公表。
11月22日には中国外務省が日本人に対する短期滞在ビザの免除措置再開を発表した。
関係者によると中国は夏ごろ、ブイをEEZ外に移すと外交ルートを通じて伝達。
日本は歓迎しつつ、実際に動かすかどうか注視している。
日中両政府が10月に東京都内で開いた「高級事務レベル海洋協議」でもブイの移動が取り上げられた。
ブイは日本がEEZの境界とする日中中間線から日本側約500メートルに設置され、黄色で「中国海洋観測浮標QF212」との表記がある。
中国外務省報進官は今年7月、設置は海流や気象観測が目的だと説明した。
水温などの情報を収集し、中国軍が活用するとの指摘もある。
中国は、中間線より中国側に移動しても得られるデータに大きな違いはないと判断しているもようだ。
石破茂首相は11月15日、中国の習近平国家主席と南米ペルーで初めて会談し、東シナ海情勢や中国軍の活動活発化について「極めて憂慮している」と伝えた。
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