中国国家外貨管理局が11月3日公表した7~9月期の国際収支で、外資企業による直接投資が118億ドル(約1兆7600億円)のマイナスになった。
新規投資よりも撤退や事業の縮小が大きくなったことを意味しており、比較可能な統計を公表している1998年以降で初のマイナス。
半導体を巡る米国の輸出規制や、7月の改正反スパイ法の施行などで外資企業の投資意欲が減退していることが背景にあるとみられる。
同局の統計によると、中国への直接投資は新型コロナウイルスの感染をクダウン(都市封鎖)があった2022年4~6月期以降に前年同期比で5~8割程度の大幅な落ち込みが続いていた。
中国に進出している日系企業などでつくる中国日本商会が9月に実施したアンケートでは「今年の投資はしない」「前年より投資額を減らす」と消極的な回答をした企業が計47%に上っており、投資意欲の低下は日本企業でも顕著となっている。
米国は昨年10月以来、中国への半導体の輸出規制強化や人工知能(AI)などの投資規制を相次いで打ち出しており、中国でのハイテク産業の事業展開は厳しさを増している。
改正反スパイ法はスパイ行為の定義が不明確なため外資系企業の駐在員らを萎縮させており、中国市場での人員確保が困難になる企業も出始めている。
また、電気自動車(EV)や電池産業などの中国の競争力が向上している分野では、中国での生産からの撤退を10月に発表した三菱自動車のような例も増えている。
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