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居酒屋放浪記 0339 - フェイクではない。まさに本物 - 「Arboreo」(美祢市美東町)

2010-05-10 12:30:01 | 居酒屋さすらい ◆地方版
 秋吉のカルスト台地を走る。
 低木の鮮やかな緑と優しい風が妙に心地よい。
 このカルストロードを抜けると秋吉リフレッシュパークだ。
 景清洞にトロン温泉、そしてオートキャンプ場が隣接する。

 この一角に欧州の田舎を彷彿とさせる小さな建物がある。
 「Arboreo」。
 写真家井上氏のフォトスタジオに併設されているカフェである。
 剥がれ落ちた扉のペンキ、古いのに新しいと思わせる店構えは、あまりにも存在感がありすぎて、初めて訪れる者を拒絶するかもしれない。

 店頭の黒板にはその日のメニューが記され、東京でも見たことも聞いたこともないような名称のカタカナが記されている。

 こんな田舎で、とは非常に失礼なのだが、このアンポピュラーな料理は長州の地で受け入れられるのか、少し疑問にも思うのだ。

 店内に入ると、これがまた恐ろしいほどに徹底されていることに気付く。
 アンティーク家具。
 暖炉。
 見たこともない食材。
 アクセサリー。

 まるで不思議の国に迷い込んでしまったかのような、心持にさえなる。

 実は、わたしここで食事をしたことがない。
 妻と義弟夫妻がこの日のランチである「ナントカカントカのニョッキ」を食べている頃、わたしは子供たちと、隣の「トロン温泉」の食堂でうどんを食べていた。

 わたしが口にしたのはコーヒーだけである。

 それでも、この「Arboreo」を当欄に掲載しようとしたのはもう使命感の何ものでもない。
 この圧倒的な存在感を醸す店のレベルはたとえ東京にあっても一流の部類であり続けるだろう。
 一方、東京に店を進出しても、その輝きを保ち続けられるかどうかは疑問だ。
 何故なら、この美祢の自然の中にあってこそ「Arboreo」であるからだ。

 店内にある薪ストーブは飾りではない。
 建物の脇には薪がわんさと積まれている。
 井上さんがせっせと薪割りをしているにちがいない。

 また、建物はこの大自然に溶け込んでいるからこそ、店の白壁は映えてくるのだ。

 「本物」。
 フェイクではない。まさに本物。

 手の込んだ様々な料理。
 一体、食材はどこから調達しているのか、何故かわたしが心配してしまう。
 ちなみにお酒のメニューがあるかは不明。

 ゆっくりとした時間が流れ、そこに我々が抱かれているような感覚がする。
 あぁ、わたしも井上さんのように生きてみたい。

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