
「水産」を出たボクらは、もう一軒行くことにした。珍しくMJが、積極的に店を探すのである。烏森エリアを過ぎ、内幸町方面を歩く。「ここはダメだな」などと言いながら。そんなMJをボクはかつて見たことがなく、まるで人が変わってしまったかのようだった。
30分は歩いただろうか。一向に店を決められないMJに業を煮やし、「〆は中華にしないか」と言った。「いや、もう中華で決めてくれ」という圧力だったのだが、そうとは受け取ってくれない。それからまた延々て店探しに没頭するのだった。しばらくして、ボクは、「疲れた」と言った。半ば、ちょっとイライラしていたのである。その場所が「蘭苑飯店」の前だった。
MJは、ようやく空気を察したのか、「じゃ、ここにしよう」となった。だが、残念なことに、店は満員のようである。だが、店の前にこしらえられたテーブルと椅子は空席だった。中国人とおぼしき店員さんは、「そこ、いいよ」という。「そこ」とは、店外にある椅子とテーブルだった。
約1時間、あてどなく歩いたボクはどっと疲れた。路地裏のテーブルは暗く、店内の灯りがやけに眩しい。店はだいぶ繁盛しているようだった。
新橋には町中華は多くないと思う。いや、実際にはけっこうあるのだが、外食店の割合としては少ない方だ。要するに、居酒屋が多すぎるのである。
メニューを眺めた。メニューは、カバーに入った重厚なもの。ちらっと眺めると、四文字熟語の一品料理がズラリと並ぶ。町中華ではなかった。本格中華だった。安価なメニューもあるが、多くの料理は桁がひとつ多かった。
しかし、もはや致し方ない。まずは、「紹興酒」をボトルで。もう値段なんかどうでもよい。後は野となれ山となれだ。
小皿料理を幾つかオーダーしたが、もはや記憶は忘却の彼方へと逝ってしまった。
唯一証拠を残しているのが、この画像。何故か「担々麺」を頼んでいる。これは誰がオーダーしたのか。ちなみに、ボクは「担々麺」を好んで食べない。だとすれば、頼んだのはMJということになる。こってりとした濃厚な「担々麺」。記憶はほとんどないが、やけにうまいと感じたイメージだけは、微かに記憶に残っている。けれど、最後に支払った場面は覚えていない。いくら支払ったか。翌日、怖くて財布の中身を確認できなかった。
それも自分がソロ行動が好きな理由の一つです。
なお町中華探検隊では、本格中華の事を「ガチ中華」と言うらしいですw
ひとりの散策は楽しいですね。複数人いると、判断も誤るし、妥協もしなければいけません。
「ガチ中華」ですか。
表現がうますぎます。
どこの国にも、チャイナタウンはあるので、中国人はホントにすごいと思います。